あたぴぃのらくがきちょう Online

わりと徒然なるあたぴぃの日記。細かい情報ブログは目指してません、ご了承くださいませ。

秋葉原無差別殺傷事件と死刑存廃論と

2011-04-01 16:16:38 | その他いろいろ
大震災の影響でものすごく霞んでしまっていますが、
3 月 24 日に秋葉原無差別殺傷事件の地裁判決が
東京地方裁判所で言い渡されていました。
(その後被告人側が東京高裁に控訴したようですね)

主文 1 行目は「被告人を死刑に処する」とのこと。

この手の話については非常にデリケートなところがあり、
何をどう話したらいいのか悩みながらの書き方ですが…。

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7 人死亡、10 人重軽傷という結果を先に見ると、
個人による殺傷事件としては、現在の裁判制度では
おそらく過去最悪の事件なのではないかと思います。
これ以上ひどい事件は法学部の授業でも出なかったな…。

この事件を受けて秋葉原の歩行者天国が中止になったり、
刃物の所持規制が強化されたり、社会的影響も大きかった。
誰かに脅されて凶行におよんだ等の背景もない。

犯行~逮捕時の経緯からみて、無実の罪の可能性もない。

日本の刑法と現在よく参照される最高裁判例を踏まえれば、
「どう考えても死刑にせざるを得ない」事例と思われます。

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…と、ここまでが、法学部の授業風味なお話。
ここからは「もしも」のお話になります。

もし日本の刑法を改正して死刑を廃止していたとしたら、
彼は「無期懲役」もしくは「終身刑」になると思われます。
日本の刑法には終身刑は規定されていないので、
終身刑を言い渡すためにはこれも刑法改正が必要。

終身刑と死刑の間に別の刑があるという国は…ない…かな?

もっとも、日本では無期懲役でも一生刑務所という人は
増加する傾向にあり、拘束されている期間としては
無期懲役と終身刑の差は少しずつ小さくなっているようです。
「一生刑務所確定」という宣告を受ける終身刑の方が、
「もしかしたら仮釈放」という無期懲役より
重い刑であることに変わりはないのですが、まぁ。

難解なのですが、今の無期懲役というのも、相当重い刑です。
裁判所が無期懲役を選択せず死刑を選択したという部分、
「一生刑務所に押し込んでも足りない」というニュアンスが
含まれているのではないか、という風に私は思います。

世界の死刑廃止国の中には「軍事的な犯罪は例外」という
規定にしている国もあるらしい、という話も聞いています。
けれど、秋葉原事件は凶悪犯罪だけれど軍事犯罪ではない。
この部分の規制を緩めると、死刑存続とあまり変わりなく、
「この事件は特に凶悪だから死刑」という判決が
出続けることになるであろう…というのは私の憶測ですが。

また、あくまで暴論ですが、今回のような事件の場合に
警察官が犯人を射殺していたとしたらどうなっていたか、
それは死刑と同じ結果になっていないか、という話も…?
この話は深く調べていませんので、暴論ですよ暴論。
死刑廃止国でのピストル事情など全く知りませんから。

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などなど考えていると、死刑は必要悪なのかなぁ、と…。
死刑判決を減らすべく終身刑を追加するとか、
判例として死刑を適用するハードルを上げるとか、
(現実には日本では死刑適用例は増えている気がしますが)
そのような手立てはあり得ますが、廃止は難しいような。

今回の事件が「極端に死刑存続派に有利」なことは
重々承知の上で今日はこの記事を書いています。
けれど、もし死刑を廃止するのであれば、
この極端な事例でさえも死刑はよくないという、
国民を納得させられるだけの説明が必要であろうと。

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…という、元法学生 (今は畑違い) が想ったこと。
異論反論あるかと思います。なにかの議論の種になれば。