三日月ノート

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ペットをめぐる現実:しっぽの声

2019年04月03日 18時17分00秒 | 書籍

正義感あふれる獣医師の獅子神と、アニマルシェルターを経営している一風変わった雨原の二人を軸に物語が進むコミックです。

獅子神は「どんな動物にも生きる権利があって人間はそれを絶対に尊重すべき」というポリシーで、利益を犠牲にしてまで犬や猫を救おうとします。

一方、雨原はそんな「綺麗事」では済まない現状を知っています。
この雨原を通じて、行政や保護団体が「殺処分ゼロ」を謳っている影で「引取屋」が動いていたり、保健所に持ち込めない犬や猫を勝手に捨ててしまう人間がいたりすること、その結果、別な形で不幸になる動物がいることが描かれていきます。

金儲けのために気軽にブリーダーとなって動物を増やし、産まれた犬や猫が大きくなって売れなくなったら処分、母犬、母猫は「産む機械」のように扱われた後、最後は劣悪な環境で死ぬのを待つだけ。

野良猫問題、多頭飼育崩壊、引取屋、虐待。
私たちの普段の生活では目にすることのない世界かもしれませんが、動物たちにとっては明日は我が身のお話し。

明るい内容のコミックではありませんし、目を背けたくなるような現実を突きつけられるストーリーですが、こういう現実があること、問題があることを知っておくことは重要なんだろうなと思います。


『しっぽの声』(小学館)
原作:夏緑
作画:ちくやまきよし
協力:杉本彩


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