三日月ノート

日々の出来事を気ままに。

【読了】教誨師

2018年08月06日 11時26分53秒 | 書籍
長い間教誨師を務めていた浄土真宗の僧侶「渡邉」と、刑務所の関係者へのインタビューを元に執筆されたノンフィクションです。

死刑制度についてだけでなく、罪とは何なのか、人が人を罰するということは何なのかを深く考えさせられる作品でした。

そして「死刑」という制度がある以上、死刑囚だけではなく刑務官や教誨師など、それに直接関わる人たちの心にも多くの深い傷を与えるという事は見逃せないと思います。

死刑制度をどうすべきかはもっと議論されなければならないと思いますし、そのためにはこの本に書かれているような事柄、犯人が罪を犯すまでのさまざまな経緯、罪を犯してしまった背景、死刑が確定してからの死刑囚の心の動き、死刑に関わる全ての人の苦しみを、まずは知ることが大切だと思います。

そういった点で本書は、死刑廃止、存続、いずれの立場の人にとっても有益な内容であると思います。


この記事は2000年の新聞です。その頃、気になる記事を色々スクラップにしていたのですが、今でも心に残っている記事の一つです。
本書を読んでふと思い出し、引っ張り出してしまいました。

人は、死をもってしか償えないものはあるのでしょうか。
人が、死をもって償えるものはあるのでしょうか。

とても重たい問いだと思いますが、真剣に考えるべき問いでもあると思います。
--------------------------
『教誨師』
堀川惠子 著
講談社 Kindle版