面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

人にあらざる者とは?

2007年11月15日 | Weblog
 今日はいよいよ、クリスマスファンタジー第二部のショーで各曲のセンターでマイクを取るメンバーの選定日。汗だけでなく涙をこぼして稽古を重ねているメンバーの姿を見て来た僕としては、一番辛い日でもある。舞台に立つ身であれば誰でもセンターでスポットを浴びるのが夢である。しかし、センターは一人、選ぶのは劇団代表であり演出の責任である。

 古く古事記に「俳優(わざおぎ)」という言葉が出てくる。海幸山幸のエピソードで童話にもなっているので荒筋を御存知の方もあるかと思うが、権力闘争に破れた兄が弟に「これから私は俳優の民となってあなたに尽くしましょう」という台詞がある。神代のことなので推測だが、人間としての身分を放棄しなければきっと殺されてしまうほど、当時の権力闘争は凄まじかったのだろう。俳優の俳は「人に非ず」と書く。以来数千年、人に非ざる者が芸能を磨き発展させてきた。僕は選出の基準をいつもこの言葉に置く。

 米を作れもせず、家を建てることも、道路も、花も作れず、歌って踊って舞台で泣き笑いに興ずる僕等が出来るのは唯ひとつ、人の心に花を咲かせることだけだ。僕は、「俳優」のエピソードをひとときも忘れないようにしている。したがって、センターでマイクを持って立てるのは、心に花を咲かせることの出来る者となる。ゲストの歌を除いて13曲もある。一人で何曲も歌える者がいるかもしれない。センター争いに敗れても脇で一所懸命に歌って踊るメンバーにも、どうか、あたたかいご声援をお願いします。では、稽古場に行って参ります。

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