ありゃりゃサンポ

近現代の建築と一日八千歩の散歩の忘備録。美味しいご飯と音楽と。
東京都全域を徒歩で塗り潰す計画進行中。

代官山スリバチ

2024年08月31日 | TOKIO散歩

山種美術館で「東山魁夷と日本の夏」展を見てきました。《満ち来る潮》という幅9mもある大作とその習作が見ごたえありまくりで素晴らしかった。
5月に香川の東山魁夷美術館では複製品ばかりでしたが、こちらは《満ち来る潮》以外に9点本物がありました。複製と本物の区別はほとんどできませんが。

山種美術館のあと、実家による予定でした。普通なら恵比寿駅から日比谷線経由で学芸大学に行きますが、この時は代官山迄歩くことにしました。
都立広尾高校の下から歩いたことのない坂道を西向きに降りて行きます。

坂を下りきった先は明治通り。その奥にJRの線路。奥に見えている高層は代官山唯一の超高層タワマンである代官山アドレスザ・タワー。

渋谷川を越えて。大正から昭和にかけて整備された多くの河川が大半を直線化された中で、渋谷川のうねうねがこれだけ残っているのが不思議です。
そもそもなぜこのご時世に、渋谷駅以南の渋谷川はこれほどの長さで開渠がのこされているのか。それはまた別の話。

比丘橋の脇に趣きありすぎる木造家屋がありました。アパート?渋谷と恵比寿の間の一等地と言ってもよい場所によくこんなのが残ったものです。

JRの高架をくぐります。今でも山手線の多くの部分は明治時代に作られた盛土の上を走っています。

JRの線路より西はまた上り坂に。渋谷川を底とする谷を一つ越えて歩いています。

さっきの木造アパートから100m離れるだけで街がどんどんおしゃれ圏に変わって行きます。
マンションも瀟洒なタイプが多く、住所で言えば恵比寿西2丁目ですが、大半の建物に「代官山」の名称がつけられています。

坂の上には「劇団ひまわり」がありました。詳しく実態を知らないのですが、全国20か所にスタジオを持つ日本有数の児童劇団。
映画やドラマのタイトルバックでこの名前を見ないことはほとんどないくらいです。代官山近く、恵比寿西のここが本拠地です。

登り切った先で渋谷方向を見ると急な下り坂と左右の擁壁。代官山が本当に山であったことを実感する眺めです。

2013年に東横線の渋谷駅から代官山駅までが地下化しました。
普通に歩いているとどこに線路があるのかわかりませんが、駅近くの駐車場のフェンス越しに僅かな区間だけ線路を見ることができます。
2013年以前は今立っている足元の高さに踏切がありました。線路があった地上部分にはこの10年で建てられた様々な商業施設が並んでいます。

在りし日の東横線渋谷1号踏切の姿。現在はこの地下にトンネルが通っています。

その先から猿楽町に向かう上り坂。いつも猿楽町の方からこの坂を見ていました。

左側は先ほど明治通りから見えた代官山アドレスザ・タワーの入り口。タワー8階、49.58㎡の2LDKで1億5,600万円です。

線路に沿って代官山駅に向かっていく坂道。まったく知らない景色です。
学生時代には通学で毎日のように車で通ってはいましたが、並木橋に繋がる八幡通りと旧山手通り以外は歩いたこともありませんでした。
坂と平行に、線路を渡る歩道橋があったので登ります。

歩道橋の上から。歩道橋は単なる跨線橋ではなく、代官山アドレスの敷地と直接つながっていました。

その先にはさらに別のブリッジがマンションから伸びていて、こちらは直接代官山駅にアクセスできます。
マンションの住人はこの激しい凸凹地形を上り下りすることなく専用の歩道橋を使って水平に移動して駅や線路の向こう側に到達します。

そのブリッジの脇にとても古そうな木造家屋がありました。代官山駅から徒歩1分。誰も住んでいないのかな。Netflixで見た「地面師たち」の香りがぷんぷん。

駅に向かう最後の坂道。一般市民はこの坂を上って駅に向かいます。代官山駅は代官「山」のまさに頂上にあることが分かります。
代官山を過ぎれば今度は目黒川に向かって一気に下り坂になります。

1970年代初めころの代官山駅。私自身代官山駅で乗り降りした経験が数回しかありませんが、記憶の中の代官山駅はこんな風景です。
この頃すでに平凡パンチで「原宿はもう古い。これからは代官山がおしゃれ」みたいな記事が書かれていました。

2023年の代官山駅。左に急な下り坂が見えますが、お店もほとんどないので住民以外でそちらに下って行く人はほとんどいません。

こちらは更に人気の少ない東口。1970年代から栄華を誇る代官山ですが現在でも駅前自体は地味なものです。

代官山駅ホームから。昔はホームが短いので端の車両に乗るとドアが開きませんでした。いまはそんなことはありません。

広尾の山種美術館までの散歩道。距離にしてたかだか1.2km程度です。
学生時代に車で通り過ぎるだけの場所だった代官山。駅周辺の高低差がここまで凄まじいものだとは全く知りませんでした。面白かった!
コメント
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