金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【どちらも限界】 ロシアだけでなく、ウクライナそしてNATO各国も、追い込まれている!

2022-11-09 05:04:54 | ウクライナ情勢

 アメリカ中間選挙の結果は気になるところですが、拮抗する上院の情勢が判明するには、12月の決選投票まで待たなければならない州も出てきそうで、もう少し時間がかかりそう。という訳で、2023年に向けてのリスクを考えるに、やはり欧州が気になります。10月25日の当blogでもお話しましたが、欧州経済は相当に追い込まれており、そろそろ限界に達しつつあります。

 

 BS‐NHKの海外ニュース(英BBC放送など)では、特にロシアが追い込まれていること、ロシア国内に厭戦気分が広がっていることばかりが報じられて、直にプーチン政権が崩壊するだの、国内で内紛が発生する可能性などの、希望的観測が満ち溢れています。

 一方で、地上波のNHKが先週取り上げたのは、ウクライナ国内で広がっている『ウクライナ国民同士の対立』の構図。ベースには、長期化する戦争状態への憤りや焦りがあるのですが、首都キーフ周辺では、

◎当初ロシアが侵攻してきた際、ロシアに協力した可能性のあるウクライナ市民への誹謗中傷が溢れ、これによって孤立する市民群が発生している

◎ロシアに占領されている東部地域からキーフへ逃れてきたウクライナ市民に対して『そもそも親ロシアだったお前たちが悪い』と、彼らに対する批判意識が高まっている

 というように、ウクライナ市民間での分裂が発生し始めているようです。

 

 さらに、侵攻されたウクライナを支持する立場のNATO加盟国の中にも、ハンガリーポーランドのように、現政権が『民主主義は我々を豊かにしてくれなかった。イデオロギーを守るために血を流す意義に疑問を感じる』と、不安定な民主主義よりも、権威主義による安全・安定を復古的に支持する国が出始めています。この流れは、イタリアスペインでもファシズム復古の極右政党が勢力を伸ばしているように、伝統的な西側各国にも及んでいます。

 2023年に向けて、まず最大のリスクは欧州、ということであります。ロシアとウクライナの戦争が長引けば長引くほど、この両国が痛むのはもちろんですが、近代民主主義の要であるNATOの主要各国の傷つき方も半端なものでは済まなくなっていきます。

 

 すでに、米英仏は、ロシアとウクライナの手打ちのタイミングを狙って、水面下で動いていると思いますが、『和平条件』が揃うには、ロシアが占領している東部地区の勢力範囲が、ウクライナ側にとって、まだ微妙に足りない状況なのだと思います。

 

 戦争の長期化に伴い、武器も兵力も整える難しさが増しているロシアと、民主主義よりも権威主義に傾く勢いが増しているNATOそのものを心配するアメリカの、『壮大な我慢比べ』が続いているのだと思います。どちらも、もう長くは持ちません。


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