9月9日にアイルランドのレパーズタウン競馬場で行われた愛チャンピオンステークス(3歳上・愛G1・芝2000m)。勝ったのは、R.ムーア騎手騎乗の1番人気オーギュストロダン(牡3、愛・A.オブライエン厩舎)。御存知、ディープインパクト産駒のラストクロップで、今年の英ダービー、愛ダービーに続いて、強豪古馬も出走した芝2000mGⅠを制しました。
レースは、昨年の覇者であるルクセンブルク(牡4、愛・A.オブライエン厩舎)が淀みのないペースで逃げ、オーギュストロダンは3番手から追走します。最後の直線に入ると、ルクセンブルクが逃げ粘るところを、オーギュストロダンが鋭い末脚で交わして先頭に立ちます。外から昨年の仏オークス馬ナシュワ(牝4、英・J&T.ゴスデン)が迫りますが、これも振り切り勝利。良馬場の勝ちタイムは2分2秒68。
前走のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでは、ほぼ競走中止に近い形で敗れてしまいましたが、今回は人気に応えて、強豪古馬相手に堂々の復活勝利を飾りました。
なお、A.オブライエン調教師は、「誰もがオーギュストロダンの価値と繁殖の重要性を知っている」と、今季限りの引退を示唆しています。
このオーギュストロダン、良馬場だった英ダービー、愛ダービー、そして今回の愛チャンピオンSでは、鋭い差し脚を武器に、無敵の強さを誇っていますが、不良馬場だった英2000ギニーと、アップダウンの激しいロイヤルアスコット競馬場でのキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでは、あっさり走るのをやめてしまうように、気が乗らない舞台では、まじめに走ろうとしない困った癖があります。不良馬場になりやすい凱旋門賞への登録がないのも、それが理由。
このあとは、米国ブリーダーズカップターフへの出走も噂されていますが、ワタクシは、このまま種牡馬入りする可能性が高いと予想しております。
いずれにしても、サドラーズウェルズとガリレオの血で濃くなり過ぎた欧州生産界にとって、スピードと切れ味に長けたディープインパクト血脈は貴重で希少な宝物。したがって、オーギュストロダンは引退したあとも、欧州生産界で大切にされることは間違いありませんので、ワタクシと致しましては、無事なうちに引退することを祈っております。
スノーフォールの悲劇は、もう二度と見たくありませんから。