ワタクシの家は東京都小平市にありますが、家の近くに「鈴木遺跡」という石器時代の集落跡がございます。
【鈴木遺跡が、最初に発見された際の発掘作業風景】
「鈴木遺跡」の周辺は、いわゆる窪地になっていて、今でも変わらないのですが、大雨が降ると「鈴木遺跡」周辺で大量の湧き水が噴き出します。そのため、少しでも地中を掘るとすぐに新鮮な水が手に入る場所であったため、遠い昔から人間が集落を作って、集団生活を営んできたものと思います。
現在では、この集落跡は人が立ち入れないように囲いで保全されているのですが、その脇に小さな「資料館」が立てられているので、発掘された矢じりなどの石器類や、狩猟した肉をのせて焼いた焼石群(礫群)などを見学することができます。
それにしても、1万5000年~3万年前の人の生活というのは、どのようなものだったのでしょうか。
もちろん、まだ大陸から農業は伝わって来ていませんから、完全なる狩猟生活だと思います。小平周辺といえば、山岳部はなく、平野部と森林だったと思いますので、その頃の食料調達といえば、ドングリなど木の実の採集、鹿やイノシシや野兎の狩猟、またキジや山鳥の捕獲といったところ。また、山岳部周辺だと、クマやオオカミに気を付けなければならないでしょうが、このあたりは平野部や森林なので、せいぜい肉食獣といってもキツネくらい。人間にとっては、ほとんど危険はない土地だったかもしれません。
なお、少し歩くと、野川や仙川もありますので、川魚を釣りに行くことがあったかもしれません。ただ、その場合は、別の水場周辺に出向くことになるので、当然ながら他の人間たちの集落があるでしょうから、人間が最も気を付けなければならないのは人間だったかも。もちろん、人間同士が本格的に戦争を始めるのは、農業が盛んとなって、食料の備蓄が容易になってからでありますが、狩猟時代においても、狩猟現場の縄張り争いはあっただろうと思います。
そんな風に、1万5000年~3万年前の人の生活に想いを廻らせながら、自分の住む町の過去と現在と未来を重ね合わせてみました。白い雲、大きなクスノキやケヤキ、そして賑やかな蝉の声。ベースとなる人の生きる環境に、大きな違いはないのかもしれませんね。