もしもネアルコがいなかったら・・
北米4大スピード血脈である、①ナスルーラー ⇒ ボールドルーラー血脈も、②ノーザンダンサー血脈も、③ネイティブダンサー ⇒ レイズアネイティブ血脈も、④ターントゥ ⇒ ヘイルトゥリーズン血脈も、今と同じような繁栄は見せていなかったはずなので、世界の競馬の潮流は全く異なったものになっていたと思います。
ここからは妄想の世界であります。
それでも、もしネアルコがいなかったら・・。上記4大スピード血脈のうち、①②④はネアルコ直系ですから、存在しなかったと言ってよいですが、唯一③のネイティブダンサー ⇒ レイズアネイティブの血脈だけは、異なる運命を辿っていくと言った方が正確なのだと思います。
実は、ネアルコの2代前の直系ファラリスは、ネイティブダンサーの4代前の直系に当たるので、この2頭も同じサイヤーラインにいることになります。もし、ネアルコがいなければ、北米のおけるスピード血脈は、ネイティブダンサーの血脈がより広がったと考えるべきです。芦毛の怪物と呼ばれたネイティブダンサーの血が、北米を、そして欧州を、席巻していったのではないでしょうか。
すなわち、近代競馬におけるネアルコの立場に、ファラリスが立っていて、戦後最高の種牡馬の地位にいるノーザンダンサーの座には、ネイティブダンサーが座っていたと考えます。戦後の欧州競馬は、ノーザンダンサー末期の傑作サドラーズウェルズの血脈が支配することになりますが、もしネアルコが居なかった場合、ネイティブダンサーの末期の傑作レイズアネイティブから発展するアファームドやアリダー等の血が欧州に渡って、その後の欧州競馬を席巻したのではないでしょうか。
特に三冠馬アファームドは、北米内には血脈を残せませんでしたが、彼はむしろ欧州競馬に相応しいスピードの持続力に秀でていたので、サドラーズウェルズが存在しなければ、欧州でその血脈を開花させていたのかもしれません。
そして、北米では、ネアルコ血脈を持たないミスタープロスペクターもどきが出て、そのスピードを全世界へ広げていったと思われます。
そうなれば、日本にはサンデーサイレンスは居ませんから、ミスタープロスペクターもどきの直系孫のキングカメハメハが、サンデーサイレンスやディープインパクトの替わりを務めていたと思います。
以上のように、80年前にいた1頭の馬が、もしも存在しなかったら・・。それだけで、近代競馬の歴史は大きく変貌してしまうのであります。特に1頭の種牡馬の影響力は計り知れません。
ちなみに、サンデーサイレンスは、ネアルコと同じくらい、世界の競馬への影響力を持った馬だと思いますので、この種牡馬が北米ではなく、日本の安平町に繋養されたことで、ここからの競馬の歴史が50年くらい、大きく変貌する力になると信じております。