金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【ウクライナ情勢④】 ウクライナ軍の抵抗が少ないのはなぜ?

2022-02-25 07:02:14 | ウクライナ情勢

 北京五輪後のプーチンの第1手は、「ウクライナ東部の親ロシア派が支配する『ドネツク人民共和国』と『ルガンスク人民共和国』の独立承認」

 そして、次の1手が昨日実行した、「ウクライナ東部への侵攻」

 

 プーチンは準備していた手を、順序良く繰り出しています。ウクライナ東部への侵攻と並行して、ウクライナ空軍の動きを止めるため、制空システムを破壊する目的でミサイル攻撃を仕掛けたり、国境付近にある軍事施設ほかを破壊したようです。侵攻する地上軍の妨げになるものを排除するための作戦でしょう。

 しかし、ここまでで不思議なのが、ウクライナ軍の抵抗が予想外に少ないこと。国境近くにいたウクライナ軍は、ほぼ無抵抗でロシア軍の侵入を受け入れてしまっています。もちろん、初動攻撃の鮮やかさによって、指揮系統が無力化されているかもしれませんが、ひょっとすると、プーチンは事前に、一部の軍上層部とは「連携関係」を成立させている可能性もあります。

 

 プーチンの最後の1手は、「キエフ占領と新政権樹立」

 その際、今の親米ウクライナ政権を倒して、親ロシア政権を打ち立てる訳ですが、プーチンは、ひとまず臨時のウクライナ軍事政権を立てる予定なのではないでしょうか。その時の首脳候補が、現ウクライナ軍の上層部だとすれば、各地でウクライナ軍の抵抗が少ないのも頷けるところです。また、内戦化を防ぐ「好手」とも言えます。

 ちなみに、今の親米政権が出来る前までは、ロシア軍とウクライナ軍は軍事訓練を共にしてきた「仲間同士」。ここをプーチンが突いてくる可能性は十分に考えられます。

 

 まぁ悔しいですけど、ここまでは、「プーチンの作戦勝ち」ということだと思います。ちなみに、国際紛争が発生してから「国際法違反」とか叫んでも殆ど意味がありません。10万人単位の陸戦部隊が動けば、それに対応した数の陸戦部隊を動かさないと「地域紛争」事態を止めることは困難です。NATO側が甘すぎたということ。

 そんなことは、ローマの時代から当たり前の事実。日本で言えば、戦国時代からの常識。今さら、何を‥という感じ。

 バイデンの弱腰が招いた今回の事態を、アメリカの共和党保守派は、地団駄を踏んで悔しがっていると思います。

 

【補足】

 こういう状態をひっくり返すためには、まずは「米陸軍10万人の追加派遣」を決めること。しかし、これでも実際の派遣には何か月も準備がかかりますので、やるんだったら、昨秋までには決めてないといけなかった。昨秋といえば、そのころアメリカはアフガン撤退を実行していた。アフガンへの派遣程度でも、今のアメリカが継続できない事実を見て、プーチンは今回のウクライナ侵攻を決断したと思います。

 ロシアを慌てさせる方法で、もう一つあるとすれば、極東のサハリンや北方領土周辺で、大規模な日米軍事演習を展開するという手があります。上陸作戦まで準備すれば、ロシアの極東陸軍は、ベラルーシから大急ぎでアジアに帰っていくでしょう。今回のロシアは総力戦なので、アジアで何かが起こると、部隊は分断されてプーチンは大慌てとなり得ます。しかし「上陸作戦訓練」なんて、日本が乗ってこないので、これも無理。

 プーチンが一番ビビるのは、中国がウラジオストク周辺に陸軍を展開すること。19世紀の北京条約でロシアに掠め取られたウラジオストクを、中国は何百年かけても取り返す気持ちが強い。これをプーチンは当然意識しています。ただし、今の国際情勢下、中国はウクライナ情勢には「ほぼ中立」の立場。台湾有事の参考にしている可能性が大。何をするはずもありません。


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