金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【馬 第一主義】 藤沢和雄調教師の現役ラストウィーク!

2022-02-26 05:25:46 | 競馬

 毎年2月末は、名伯楽の引退の季節でありますが、今年の2月最終週は、いよいよ『馬 第一主義』を実践し続けた藤沢和雄調教師の現役ラストウィークです。

 

 藤沢調教師が手掛けた名馬と言えば、海外GⅠ勝利がまだ夢だった時代に、世界のマイル王へ登り詰めたタイキシャトル、3歳秋は菊花賞という常識を破って、3歳牡馬が天皇賞秋に挑戦して勝利したバブルガムフェロー、同じくシンボリクリスエスなどが有名ではありますが、自分にとっては、やはりレディブロンドという名牝が最も記憶に残っています

 レディブロンドは外国産馬で、父 Seeking the Gold母 ウインドインハーヘア、という良血でしたが、体質の弱さがあって、デビューしたのが何と5歳春。普通ならば、とうに諦めて繁殖牝馬へ上げるところですが、名伯楽は、この馬の常識を超越したスピードを見抜いていて、それを何とかレースで見せることで、レディブロンドの繁殖牝馬としての価値を最大化しようと諦めませんでした。

 ようやく体質が強化されて、最初に出したレースが、当時の1000万クラスの函館芝1200m。デビュー戦ですから、500万円クラスでもOKなのですが、よほど自信があったのでしょう、このレースを楽勝。その後も、芝1200mばかりを選んで、デビューから土つかずの5連勝。そして、6戦目に選んだのが、GⅠスプリンターズS

 

 さすがに、このレースは僅差の4着に敗れましたが、藤沢調教師は、ここでキッパリとレディブロンドの引退を決めて繁殖に上げました。レディブロンドの卓越した能力を十分に見せることが出来たので、無事なうちに繁殖へ上げるのが、この馬のためには一番との判断でした。ちなみに、この時の1着はデュランダル、2着ビリーヴ、3着アドマイヤマックスで、全て、この時期のスプリントGⅠを勝利する馬たちです。実質的にはGⅠ勝利に等しい4着でありました。

 

 皆さんご存知のとおり、レディブロンドの母ウインドインハーヘアは、その後、ノーザンファームが購入して、レディブロンドの3世代後にブラックタイド4世代後にディープインパクトを産むことになります。藤沢調教師の相馬眼の凄さは今さら言うまでも有りませんが、藤沢調教師は、ブラックタイドやディープインパクトが出現する前に、その姉であるレディブロンドの潜在的な能力を、すでに見抜いていたことになります。

 そして、レディブロンド自身も、その産駒から帝王賞を勝ったゴルトブリッツを出すとともに、ダービー馬レイデオロを産むラドラーダを出すことになりますから、この馬が、優秀な繁殖牝馬になることも見抜いていたことになります。

 

 常に『馬 第一主義』を実践し続けた名伯楽。藤沢和雄調教師の現役ラストウィークを厳粛に見守るとともに、恩師に最敬礼するような気持ちで、精一杯の拍手を贈りたいと思います。


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