金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【金融】 ポール・ボルカー元FRB議長が死去

2019-12-11 07:21:34 | 金融マーケット

 12月8日、ポール・ボルカー元FRB議長が亡くなりました。92歳の大往生でした。

 私が米国株式の資産運用担当者になったのが1987年の春で、この時のFRB議長がボルカー氏でした。この時のイメージは、とにかく威厳はあるものの、頑固で意固地で柔軟性がなく、もう任期切れ前のレームダック状態。しかし、ツキは抜群に持っており、ブラックマンデーの2か月前に退任して、世界的マーケットの大混乱という難を逃れています。

 この後を引き継いだグリーンスパン氏が、ボルカー氏の真逆のタイプで、柔軟かつ流れに逆らわないタイプだったので、ブラックマンデー後のマーケットの混乱を無事に収束させるとともに、1強時代のアメリカの成長を陰からサポートする推進役になっていきます。そしてアメリカが世界に君臨する中で、グリーンスパン氏も中央銀行界のマエストロと呼ばれるようになっていきました

 しかし、グリーンスパン氏の成長優先主義は、マーケットのレバレッジがとんでもなく高くなる結果を招いたり、アメリカ国内に決定的な格差社会を生む結果となり、今日のアメリカの病巣を作り出すこととなります。病的なアメリカを、世界に示す象徴的なインシデントがリーマンショックだった訳ですが、リーマンショックの発生によりグリーンスパンの名声は過去のものとなり、それに替わって、ボルカー氏が20年ぶりにカリスマとして表舞台に復活、新時代の金融取引ルールである「ボルカールール」を策定します

 現在の世界経済の安定は、このルールに依るところが大であると言えるとともに、世界の経済成長の足かせになっている面もありますまさに、世界経済のエンジンブレーキ役がボルカー氏の生き様だったと言えると思います。

 合掌。

 


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