未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




米海軍が実験成功した『レールガン』とは
http://news.goo.ne.jp/article/wiredvision/business/2008news1-15521.html
http://wiredvision.jp/news/200802/2008020421.html

米軍は、数十年前から、火薬ではなく電磁誘導で加速して砲弾を発射する機関砲の構想を練っていた。それから月日は流れ、米軍はエネルギー出力が10メガジュールという史上最強の電磁レールガンの実験を1月31日(米国時間)に行なうまでにこぎつけた。
火薬を使用する火器では、燃焼によるエネルギーの多くが熱の形で失われ、弾体の投射エネルギーに使われるのは少しになる。また弾体の発射速度は発生・過熱膨張されるガスの膨張速度を越えられないが、レールガンはこれらの限界を持たないという。なお、レールガンは兵器以外にも、宇宙の輸送装置などへの応用が考えられている。

『レールガン』

火薬を使わずに、電気磁石で鉄の球を射出する。という、技術らしい。

「着弾までを衛星から制御する」と記事にあるので、ミサイル本体には、姿勢制御用の燃料と、制御用のシステムは搭載しているようだ。

とは言え、「巡航ミサイル」などは、本体の殆どが推進用の燃料である。それが不要になるので、構造が単純になり、一発当たりの価格も安くなる。極端な話、ただの鉄の球でもOKなのであろう。

拳銃など、携帯用の火器には向かないであろうが、駆逐艦に搭載するには持って来いの技術である。

将来的には「宇宙の輸送装置などへの応用」も考えられているようだが、ロケットが上昇しながら、徐々に速度を上げて行けるのに対し、完全に電磁誘導のみで打ち上げを行うには、離陸時点で脱出速度に達していなければならない。搭乗者が耐えられるようにするには、かなり長大な『レール』が必要となるであろう。

発射する砲弾の数は今の232発から5000発に跳ね上がる。さらに、砲弾はおよそマッハ7というものすごい速さで進むため、破壊力はこれまでの2倍を超えることになる。

これだけの物量で攻撃されたら、もはや、ミサイルで撃ち落とすことは不可能だ。

新たな技術のブレイクスルーを果たすには、脇目も振らずにその技術に埋没する、集中力が要求される。

だが、それを実用化する段階では、その技術が与える影響を、高い視点から広く見通せる能力が必要だ。

果たして、自分で迎撃できない兵器を開発してしまっても、良いものであろうか。

功を急ぐと、時として、取り返しの付かない事態に陥ってしまうかもしれない。



「迎撃方法を開発したらしいな?」
「はい。これでいよいよ、実践配備できます。」
「今日は実弾でのテストを行うとのことで、こうして査察に来たのだが。」
「ええ。シミュレーションの結果は完璧でしたので。」
「ミサイルなどの爆発力で防御するのは不可能であると、開発当初から判明していたはずだが?」
「はい。ですのでここ5年くらいは、『キネティック弾頭要素』での迎撃システムを開発していました。」
「いくら制御が精密であっても、圧倒的なパワーの前では、静止して待ち受けるという技術では、力不足ではないのかね?」
「はい。ですので、こちらも『レールガン』から発射したり、弾頭の重量や面積を広くして盾状にしたりなど、様々な試みを行って来ました。」
「それでは、盾と矛との例を上げるまでもなく、技術的なイタチごっこが繰り広げられるだけで、決定的な解決にはならないのではないかね?」
「ええ。おっしゃる通りです。この事態の解決には、発想の転換が必要でした。『いかにして当てるか?』にばかり気を取られていたのですが、この技術はそのまま『いかにして外すか?』の技術に転用できることに気付いたのです。」
「と、言うと?」
「はい。『レールガン』を文字通りレール状に配置し、攻撃対象を移動させることにしたのです。」
「攻撃対象?」
「ええ。建物を瞬時に移動させることにより、砲弾を避けることができるんです。一般的に『レールガン』の砲弾には、爆薬は搭載されないので、直撃を避けることができれば、被害を被ることはありません。」
「全ての建物にその装置を組み込むことはできないだろう?」
「当然です。もちろん、戦略的に重要な施設のみになります。」
「たとえば、この技術研究所の様な?」
「ええ。今日の実験も、この棟で行います。」
「ちょっと待て!中の人間はどうなるのかね?」
「人間?」
「あぁ、そんなに大きなGがかかれば、中の人間は壁に叩き付けられて、潰れてしまうだろう?ちゃんと、シミュレーションに組み込んであるんだろうな。」
「いいえ。人間工学は、私の専門外ですので。ですが、椅子や機器などの可動物は、全てに床に固定してありますし、壁や柱などには、緩衝材を取り付けてあります。」
「この『プチプチ』のことかね?」
「ええ。危ないですからね。」
「いくらなんでも、不十分だろうっ!?」
「大丈夫ですよ。念には念にを入れて、全て3枚重ねにしてありますから。」

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