未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




4億年前に入り込んだ遺伝情報、哺乳類の脳生成に深く関係
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/science/20080304-567-OYT1T00813.html

何億年も前に 脊椎動物のゲノム(全遺伝情報)の中に入り込んだ特殊な遺伝情報が、 哺乳類特有の発達した脳を生み出すのに深く関係していることが東工大や理化学研究所などの共同研究でわかった。
このレトロポゾンが関係している脳組織は、ねずみのひげやもぐらの鼻先など哺乳類特有の感覚器官に反応する部分で、爬虫類や鳥類にはない構造をしている。レトロポゾンが入り込むことでゲノム上の領域が刺激され、脳組織の位置などを決める遺伝子が活性化されることがわかった。


「こちらで、頭を良くする手術が受けられると聞いたのですが?」
「頭を良くする手術ですか?」
「ええ。」
「頭が良くなりたいんですか?」
「ええ。今年こそは医大に合格しないと、親の病院を継がせてもらえないんです。」
「これはまだ研究段階のもので、正式な施術はできないんですよ。」
「分かっています。全ての責任は私が取りますので、先生にご迷惑をお掛けすることはありません。」
「現段階では、必ず効果が表れるとの保障も、一切できませんよ。」
「こちらは、藁にも縋る思いなんです。費用も先生の言い値で結構です。」
「そこまで、おっしゃるのでしたら、検討してみても・・・」
「では、気が変わらぬうちに、直ぐにでも実行して頂けますか?」
「今からですか?」
「可能なんでしょうか?」
「ええ。手術と言っても、注射を一本打つだけですからね。」
「では、さっそくお願いします。」

 ・・・

「どうです?」
「今のところ、特に変わったような気はしませんが、原理を説明して頂けますか?」
「ええ、さっきの注射には、脳組織の発達を促す『レトロポゾン』が含まれています。」
「『脳組織の発達を促す』んですか?」
「ええ。これは『ねずみのひげやもぐらの鼻先など哺乳類特有の感覚器官に反応する部分で、爬虫類や鳥類にはない』哺乳類独特のものです。」
「既に、哺乳類の遺伝子には含まれてるんですか?」
「ええ。ですが、これがもう一つ加わった場合の効果については、まだ未知数です。」
「では、頭が良くなるとは、限らないんですか?」
「ええ。ひょっとすると、ヒゲの感覚が鋭敏になるかもしれません。」
「そんなもの、鋭敏になっても、嬉しくないですよ。」
「やっと体が通るぐらいの細い隙間を通り抜ける時でも、目を閉じたままで、全力疾走できますよ。」
「それが、何の役に立つんですかっ!!」
「時には命を助けてくれることもあり得ます。」
「命を?」
「ええ。エイリアンに追いかけられて、森の中を逃げ回る時などですね。」
「私のこれからの人生に、そんな機会があると思いますか?」
「可能性は、0ではないでしょう?」
「だったとしても、そういう時に限って、朝、ヒゲを剃ったばかりだったりするもんなんですよ。」
「随分と、悲観的でいらっしゃいますね。」
「だいたい、悪くすれば、もぐらのような鼻先になるかもしれなんですか?」
「それでしたら、ご心配なく。効果が表れるのは、たぶん、4億年後ぐらいですから。」

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする