10万円札を浮かべて入浴:「お札状」の入浴剤、最後は泡に
http://news.goo.ne.jp/article/wiredvision/nation/2008bloggadgetlab6-15485.html
バンダイは、一万円札をイメージした紙状の泡入浴剤を2月中旬から発売する。名称は『バブリーバブルバス』で、お風呂に浮かばせてセレブな気分を味わえるという。コンビニエンスストアや雑貨店で販売。価格は250円(10枚入り)。
本物の一万円札とほぼ同じ大きさでデザインもそっくりだが、額面が10万円になっている。1枚ずつ浴槽に散らし入れ、溶けてきたところでシャワーなどで泡立てて泡風呂を楽しめる。約1分間で溶ける。
「うまい棒入浴剤」「暴君ハバネロお風呂用」など、新規メーカーの参入が相次ぐ入浴剤市場激戦区に、新たな刺客が送り込まれた。
「お札状の入浴剤」
発想が素晴らしい。常人には思いつかないよな、ふつう。
やはり、おもちゃ業界には、卓越した才能の持ち主がいるようだ。
そして、『バブリーバブルバス』だ。
ネーミングが絶妙すぎる。だが、この天才的な名前の陰で、ひとつ、大事なことを見落としてはいないであろうか?
『お札風呂』って、なに??
奪った札をベッドに撒き散らして、大はしゃぎするのは、一か八かの世界で束の間の成功を収めた者の、お約束行事だ。だが、風呂でこれをやっているのは、見たことがない。
バブリーな風呂の定番と言えば、「ワイン風呂」とか「金粉風呂」であろう。
「ただの洒落だよ。所詮は、おもちゃなんだし。」との言葉が聞こえて来そうだ。
だが、時として、ただのおもちゃの出来栄えが、ひとりの人間の人生を左右してしまうこともあるであろう。
新たな商品と共に、新たな生活習慣までも提案しようという目論見が成果を成すには、時として膨大な時間が必要となる。
そう言った意味では、商品の行く末がとても楽しみな一品であるとも言えよう。
「『お札風呂』をやりたいんですが、何か良いアイデアはありませんか?」
「『お札風呂』?」
「ええ。風呂にお札を浮かべて入るのが、長年の夢だったんです。」
「成金趣味ですね?」
「ええ。というか、正真正銘の成金なものですから。」
「今でも古銭商に行けば、本物のお札が手に入ると思いますが?」
「いや、やはり現時点で実際に流通している貨幣でないと、どうしても『ごっこ感』が拭えませんからね。」
「『ごっこ感』?」
「ええ。子供の頃に買ってもらった『バブリーバブルバス』の、それを手にした時の衝撃的なワクワク感と、実際に入ってしまった後での空虚な感覚とのギャップが、今でもトラウマとなって残っているほどです。」
「とは言っても、今や電子マネーが正式採用され、実態を持った貨幣が廃止されてから久しいですからね。」
「あの日以来、大人になったら必ず、本物のお金で『お札風呂』をやるんだ。と、いうのを、人生の目標として頑張ってきたんです。こうして、一代で一財産築き、いざ、それが実現可能となった今になって、世の中からお札が無くなってしまったなんて、我慢がならないんですよ。なんとか、ならないでしょうか。」
「そうですか。ですが、実際に『お札風呂』をやると、後片付けが大変なんですよ。」
「・・・聞き捨てなりませんね。まるでやったことがあるような口ぶりじゃないですか。」
「ありますよ。」
「あるんですかっ!?」
「ええ。最初に入ったのは、中学生の時でしたね。」
「最初っ??中学生っっ!!?」
「うちは、親がいわゆる成金でしてね。金が出来たら出来たで、生まれながらセレブに育った人たちとの付き合いは、大変だったようです。」
「それで、『お札風呂』ですか??」
「私は小さい時から、様々な習い事はもとより、食事や服飾品など、全てに金をかけて育てられました。『帝王学』とでも呼ぶんでしょうか。金だけは、いくらでもあったので、それこそ湯水のように金を使いしまたね。最終的には、『湯水のように金を使う』というたとえを、文字通りに実践しようとしていたんだと思います。」
「で、どうでした?」
「完全に感覚がマヒしてましたから、特別な感慨はありませんでしたね。」
「そんな...。何の感情も湧かなかったのですか?」
「一番印象に残ったのは、やはり、後片付けの大変さ。ですね。水を吸って重くなってしまっていますし、乱雑に掬おうとすると、すぐにちぎれてしまって、手に負えないんですよ。かと言って、そのまま下水に流してしまえるほど細かくするのは、とても根気がいる作業ですしね。そこで思いついたのが、この『お札風呂その後で』です。」
「聞いたこと、ありませんね。」
「お札に使われている紙は特殊な原料を使用していて、水に濡れたぐらいでは、細かくなりません。『お札風呂』の後で、浴槽にこれを一袋入れれば、繊維を分子レベルまで分解して、あとは下水に流すだけ。もちろん、たとえ融解中の風呂に誤って入っても、人体には全く無害という優れものです。」
「市販されたんですか?」
「父が私のために設立してくれた会社で、無理やり商品化して販売しました。ターゲットが『超』の付く富裕層であり、競合する商品も考えられないので、10袋10万円でも、十分に市場性はあると計画していたんですが、全く売れませんでしたね。」
「そんなものなんでしょうか。。。」
「本当のセレブは『お札風呂』などに入らない。という真実に気付いたのは、商品テストのために、毎日のように『お札風呂』に入って、財産のほとんどを使い果たした後でした。それで、今ではこうして『お札風呂』の専門家として、質素な余生を暮らしているんですよ。」
「子供の頃に、本当のお札風呂に入ったあなたは実社会で失敗し、『バブリーバブルバス』に入った私は、人生の目標を得て生き生きとした生涯を送った。」
「ええ。『バブリーバブルバス』の開発者に、感謝しなければなりませんね。」
「今まで、気づきませんでしたよ。」
「時として、子供の夢を壊すこともまた、おもちゃの使命であると。」
「では、『お札風呂』は、諦めるしかなさそうですね。ところでこちらでは、どんな御商売をされているんですか?」
「ええ。長年の経験を生かして、今では、これを販売しています。」
「こっ、これわっ!!」
「そうです。残念ながら『復刻版』なんですけどね。『バブリーバブルバス』の。どうです。これに入って、初心に帰って新たな目標を得るもよし、自分の原点をゆっくりと思い返すも良し。成功した今となっては、また特別な感慨があるのではないでしょうか。」
「その通りですね。感銘を受けました。これで『お札風呂』をすれば良かったんですね。ありがとうございました。感謝の言葉もございません。これ、おいくらでしょうか?」
「10枚入りで10万円です。」
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