「渡辺麻友」
「ネズミ」の時から気になる存在であった。
自分が惹かれているのは、「ネズミ」なのか、「まゆゆ」なのか。
はっきりとは解らなかったが、「さばドル」を観ていて感じたことがある。
「まゆゆ」は色々と器用なので、観ていて面白い。
この場合、「器用」というのが、褒め言葉なのか、そうではないのか?
「器用」というと、どうしても「小手先」とのイメージがある。
「器用」な人はコツを掴むのが上手いので、人よりも早く、ある程度のレベルに達してしまう。
だが、そこから先に進むためには、普段使わない筋肉の発達が必要であったり、様々な局面に臨機応変に対応できる、熟練者の経験が必要となったりする。
基本的なレベルにはすぐに達してしまうため、そこから先に進むまで、しばらくこれと言って、目に見えた進歩が感じられない時期が続く。
「器用貧乏」と呼ばれる人は、この退屈な時期に耐えられずに、次の新しいものに手を出してしまい、結局全てが「なんちゃって」のレベルに留まってしまう。
そのレベルで留まっている限り、「小手先」との誹りを受けてもしかたがない。
だが「器用」というのは、何をするにも有利に働く、かなりオールマイティーな才能である。
特にアイドルのように、様々な能力を求められる者にとって、それは強力な武器であろう。
あの、なんのリアリティもない歌詞(缶詰の方だ)を自分のものにして謳いあげてしまう力技には、ただの器用に留まらない才能の図太さを感じた。
「さばドル」
そのタイトルから受ける印象とは裏腹に、実は、人生の見直しを迫られるほどの重厚なドラマであった。
私もそのひとりだ。
人生、このままで良いのか?
オレもまだ十分、やり直せるのではないのか?
人生の再考を迫られた。
得られた結論はこれだ。
「そうだっ!オレも、アイドルになろうっ!!」
まゆゆが17歳。しじみが38歳。
ダブルスコアを、さらに4歳も超えている。
その点、私が50歳。篠田麻里子が26歳。
ダブルスコアには、達していない。
まだまだ、可能性はある。
さっそく、練習してみた。
「梨本くん、また、けんか?」
ちょっと、似ているかも、しれない。
いや、十分にイケるのではないか?
・・・
いや、私の目指しているのは、高校教師ではなかった。
「なぜ?笑い物になるだけだよっ!」
これも、違った。
「きっちりと、終わらせて来なさい。」
「ナシューさん、なにやってるんすかっ」
「チキチータ。いや、セニョリータ。」
「うざ先。深呼吸だっ。」
「まゆ選手っっーー!!」
一通りやってみたが、しっくりと来るものがない。
「私は、まゆゆ。私は、アイドル。」
・・・などと言っている場合ではなかった。
明日も仕事だ。
私にも、「次のラストチャンス」はやって来るのであろうか。
P.S.
ラストのしじみのダンス。素敵だった。
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