未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




※2021年12月24日更新
再放送決定!! 12月29日(水)深夜(30日)2:50~3:35
夜光音楽スペシャル「まふまふ」



自分も「Ado」を知るまでは、いわゆるネット音楽に全く興味がなかった。
ま、ネットに限らず J-POP全般に興味がないので、特にネットを下に見ていたわけでもないのだが、音楽業界においては、プロの世界とネットの世界には大きな隔たり(偏見?)があるようだ。

「今の若者にウケるのはこういう歌だろ?」と、過去の実績を盾に大人が頭で考えて、ビジネスのフレームワークに必要な駒の一つとして、定期的にリリースされる楽曲。

そんなモノよりリアルな若者の魂の叫びから生み出された曲の方が、リアルな世代の共感を得るのはあたり前だが、ここにも自分達のカネを生むシステムの脅威となる存在を排除しようとする、既得権益層の圧力が存在するようだ。

一時の勢いを失いつつあると言えども、残念ながら、まだまだ日本の音楽界では、グループアイドルを代表とする「金になる」楽曲が幅を利かせている。

その金の源泉が、その楽曲本来の魅力に魅了された者が支払う対価であるならば何も言わないが、「このアイドルは自分が育てた」という満足感を得るための対象として大金を貢ぐコアなファンによって支えられている。

彼らにとって、その対象は歌手である必要はないのだか、大金を投じて「応援」するために定期的になんらかの投資対象がリリースされることが必要である。

これがもし女優である場合、彼女の出演する映画が劇場上映される際に、全席を買い占めて「記録的大ヒット」を打ち出すことは不可能ではないのだが、さすがにすぐにバレるので、歪んでいることを自覚せざるを得ない。

テレビドラマに至っては、自宅にテレビを1000台購入して視聴しても、視聴率が上がることは決してなく、後から円盤化されたものを大量に購入したとしても「彼女が出演すれば後で円盤が爆売れするから」との理由でドラマに起用されることはない。

あくまでも「リアルな視聴でCMがどれだけ見られるか」が、オンエア前提のテレビ番組を作る上でのスポンサーを説得するための最優先事項であるからだ。

前置き(単なる愚痴)が長くなった。「まふまふ」だ。

「Ado」を知ってから、彼女自身のボーカルの魅力もさることながら、提供されている楽曲やMVの素晴らしさに魅了された。どの曲も独創性やバリエーションに富み、映像表現も刺激的な上に驚異的に完成度が高い。

自分が持っていた「ネット音楽は素人の創作」という漠然とした偏見が、完全に覆された。

いやいや、今、プロの技として流布されているものより、何次元か上、何光年か先を行っている。

YOASOBI」「ずっと真夜中でいいのに。」ぐらいまでは手を出したが、そもそも女性ボーカルしか興味がないので、「まふまふ」は知らなかった。

Ado」が主題歌と言うこともあり、NHKの「夜光音楽 ボカロP 5min.」を観ていたので、今回のスペシャルも興味があったのだが、オンエアは見逃してしまい、NHKプラスでの視聴であった。

45分なので、そこまで深堀は出来ないにもかかわらず、素晴らしい番組であた。

「まふまふ」のこれまでの歩みが簡潔に描かれ、そして「まふまふ」の生き様と言うべきか、「自分を救ってくれたネット音楽をもっと広めたい」「一人でもここまでやれるんだと言うことを身をもって示し、みんなにも希望を持って欲しい」との決意的な心情が、観る者の胸を熱くし、勇気を与えてくれる。

これ、全国の子供たちに観て欲しい。

誤解している人が多いが、こんな素敵な番組はNHKでしか出来ない。
既得権益層への忖度で、民放では大きく取り上げることが出来ない題材を扱うことが出来る。と言うのも一因だが、NHKは実はかなり尖った人材も多く抱えているようで、先鋭的な、民放(テレ東は除こう)では絶対出来ないような番組が数多存在する。

色々と批判を受け、自立への道筋としてNHKプラスを推しているのは解るが、この番組については、もっと全国の青少年が気軽に観れるようにして欲しい。
NHKプラスの中にも、無料視聴可能で無期限の番組という枠を設け、リンクをSNSで拡散してくれれば、いつでも誰でも視聴可能な番組。そういった番組を提供することこそが、NHKの本来の使命であることを忘れてはならない。

日本のポピュラー音楽が世界に認められることは決してない。

冒頭に述べた偏見からそう思っていたのだが、米TIME紙の「The 10 Best Songs of 2021」に「YOASOBI」がランクインした。

「海外アーティスト部門」でも「アニメ主題歌部門」でもなく、2位ジャスティン・ビーバー、3位テイラー・スウィフト、7位オリヴィア・ロドリゴ、10位ドージャ・キャットと、颯爽たるメンバーが並ぶ中での堂々5位だ。
https://time.com/6125601/best-songs-2021/

これ、自分的には国民栄誉賞なんかより、よほど凄い事だと思うのだが、それほど大きな話題になっていないように思う。つまらないことに忖度していると、業界全体が衰退して行くことに、早く気付いて欲しい。

これからの日本を担って行く若者。
何年かすれば、自分達は彼らの世話にならなければならない。
彼らを応援する方法は、補助金をバラ撒く以外にもいくらでもあることを、大人たちに自覚して欲しい。

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