俺の可愛いセイコーのボーイズダイバー。1997年製。
話は遡って2015年の冬、この頃から目に見えて精度が落ちてきたので、誤差分を見越して時計を進めて使っておりましたが、やはりメンテナンスが必要だと思いました。ですが、インターネットで受け付けしているショップでは、遠まわしにではありますが、グランドセイコー以下はオーバーホールする価値が無いみたいなことを書いてあるし、街の時計屋は信用出来ないし、いっそ自らの手で機械を入れ替えてみようかとも思って道具をそろえて、献体も手に入れたのですが、ポン乗せでは何かを失ってしまうような寂しさも感じますので、どうしたもんじゃろうのう、と逡巡しておりました。そのうちに季節は夏になり、これ以上悩んでいても仕方が無いと思い、思い切って某時計屋さんにメールで相談しましたらオーバーホールしてくれることになりました。やっぱり頼りになるのはこの道一筋の某時計屋さんです。有り難いことだと大変感謝したのであります。
さてオーバーホール後リフレッシュして絶好調だった俺のボーイズダイバーですが、今年この夏ある日のある時、突然時計の針がグルングルン高速で回りだしたのです。びっくりしました。原田知代版の時をかける少女のワンシーンの様でした。時計の針はゼンマイを開放しきるまで回ってからピタリと止まってウンともスンとも言わなくなってしまいました。さすがにもう寿命なのか、俺のボーイズダイバーは逝ってしまったのか、どうしようかと悩みました。ですがやっぱり某時計屋さんにすがる事にしまして、こんな状態だが修理できますかと問合せました。そうしたら、丁寧なお返事をくださいまして、修理をしてくださったのです。
その時計が今日帰ってきました。某時計屋さんの見立てでは、ローターがヘタって振動が大きくなって時計にダメージが蓄積したのではないかということでございました。
俺のボーイズダイバーの7S26の様な機械はオーバーホールして使い続ける前提の設計では無いのかもしれません。二十年ちかくノーメンテで実用に足りていたのですから、それで充分と、新しく買い換えるのがこのクラスの腕時計の本来の姿なのかもしれません。今回わがままを言って修理していただきましたが、これは私の自己満足なのかもしれません。
ですが、やっぱり俺はコイツが可愛い。元気になって帰ってきて俺は本当にうれしい。たくさんの人のかかわりがあって生かされている俺のボーイズダイバー。これからも大事にしたいと思います。
親身になって対応してくださった某時計屋さんの店長と、担当していただいた時計職人さんのプロ意識のなんと高邁なことでしょうか。本当に、本当にありがとうございました。