Andyの日記

不定期更新が自慢の日記でございます。

熱燗

2005-08-24 19:15:38 | お酒
熱燗。最近は空前の焼酎ブームのせいか、あまり話題にならないですね。
90年代にも一時期日本酒ブームがありましたが、そのときはどちらかと
いうと冷酒のほうがクローズアップされて、熱燗はやや冷遇されていた
記憶があります。いいお酒は冷やで飲んでこそおいしい、繊細な日本酒は
熱燗にすると味が壊れる、などという意見もありました。

また、熱燗独特の強い香りが、特に日本酒を飲みなれていない若い人に
敬遠されがちなこともあるのでしょう。私の場合でいうと、酒飲みの父親の
せいで、物心付いたときにはすでにほぼすべてのお酒を飲んだことがあり
ましたが、熱燗だけはいやだった記憶があります。やはり、飲んだときに
鼻につんとくる、あの刺激臭がいやでした。

しかし、熱燗のすばらしさがわかってしまうと、もう冬には熱燗が無性に
恋しくなってしまいます。あの、ふわ~んとした酔い心地は、他には
代えがたいものがあります。焼酎のお湯割りやウイスキーのお湯割りでは、
ああいうまわりかたはしないので、日本酒だけが何か特別なものをもって
いるのでしょう。

実は先日のドイツ出張で、帰国前の最後の日に、お世話になった現地の
人と夕食を食べたのですが、そこは「喜長」という日本料理のレストラン
でした。外国のジャパニーズレストランとしては珍しく、スタッフは全員
日本人という気合の入りようで、当然日本語オッケーです。そこで料理を
注文したのですが、その人は日本料理が始めてということで、すべて私が
注文しました。

その人はお酒が飲めるので、とりあえず最初はビールで。キリンを頼んだ
のですが、これは受けが良かったです。一般に、ドイツの人は日本の
ビールに対して好意的で、その人も例外ではありませんでした。しばらく
飲み進むうちにビールが空いてしまい、その人は「日本では続けて同じのを
注文するの?」と聞いてきたので、これはかなりいける口だと見た私は、
熱燗を注文しました。

最初は不思議そうに飲んでいましたが、飲んでいるうちに平気になって
きたようで、どんどん杯が空になります。熱燗が体に入っていくうちに、
その人の話し方がだんだんゆっくりと、熱燗で酔ったとき特有の状態に
なってきました。おぉ、熱燗の酔い方は洋の東西を問わないんだな、と
わかりました。

さんざん飲んでから店を出たのですが、そのときに彼は「まるで夢の中に
いるようだ」「こんないい酒があるなら、日本ではドラッグは必要ないな」
と上機嫌で熱燗の感想を述べていました。人々に平和と幸福感をもたらす
熱燗、世界中でブレイクする日も、そう遠くないことでしょう。実際、
ワインで有名なカリフォルニアのナパバレーでは、カリフォルニア米を
使った日本酒の醸造も行われています。熱燗ばんざい!