新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

僕の伝染性単核球症(IM)の説明と慢性活動性EBV感染症(CAEBV)の話

2017-12-27 06:50:02 | 患者さん用(説明の仕方シリーズ2017年版)

さて、伝染性単核球症(IM)などに関してです。慢性活動性EBV感染症(CAEBV)も少し触れますが、主治医として診療したことはありませんので、少し触れるだけです。

 

IMは実は少し思い出がありまして、医学生時代に暇な時「バトルロワイアル」のネット小説(オリジナルバトルロワイアル)を見ておりました。いくつか巡回しているところがあったわけです。その1つの更新がなかなかされないことがありました。掲示板に作者の方が体調を崩されているような話がありました。IMみたいだったので、IMだと思う〜というような話を書いたところ、そうだった・・・という。

 

「お医者さんですか?」

「いえ、医大生です」

「ほにゃらら、ほにゃらら。ありがとうございました」

 

それ以降、現在も少しお付き合いがあります。

 7~8年くらい前に結婚式の二次会に呼んでいただきました。

 

さて、IMですね。IMは意外と白血病と勘違いされて紹介されてきたりします。他に白血病疑いで紹介されてきたのは、血管炎とかもありましたが・・・(白血球増加、軽度の貧血、血小板増加で・・・CMLとか骨髄増殖性疾患とかと間違われたりすることがあります)。

 

IMはEBVの初感染で生じる病気です。EBVは小児で感染することが多いのですが、思春期以降の感染では症状が強く出てきます。

 

IMでEBVが感染するのはB細胞です。異形成のあるリンパ球が増えることが知られていますが、これは反応したT細胞で正常なリンパ球です(形が変なだけ)。

 

 

この病気は感染症だよという説明をするだけですので、症状と診断基準を載せておきます。

 

 

IMは上記のように3週間くらいで治ります。白血球数が2万、3万/µlまで増えるケースもありますので、その時は腫瘍細胞なのかどうかきちんと鑑別すれば良いと思います。

 

 

その一方で面倒な病気はCAEBVです。

こちらはEBVが感染しているのがT細胞やNK細胞です。NK細胞に感染したものより、T細胞に感染した場合は予後が悪く、5年生存率が50%未満になります。

 

診断には持続するIMの症状に加えて、抗体価の動きやEBVのDNAが増加することなどが挙げられます。

 

とりあえず、IMの説明だけ簡単に記載します。


 

Yさん(21歳、男性)は発熱と頸部リンパ節腫脹を主訴に、近医を受診され、血液検査で白血球が20000/µlで異常な血液細胞が出ていたため、血液疾患疑いで当科に紹介となりました。

 

Yさんの症状の確認ですが、発熱とリンパ節の腫れ以外に調子の悪いところはありますか?

 

Yさん:元々風邪みたいな症状があって、喉が痛かったです。1週間経って、喉の痛みはよくなったのですが、熱や首のグリグリは治らなくて。あと体がだるいです。

 

なるほど、血液検査でも白血球はまだ17000/µlと増えていますが、貧血もなく、血小板減少もありません。肝臓の壊れ具合を反映するASTというものとALTというものは200IU/L台に上昇しています。LDHという値も400 IU/Lになっています。

 

血液像という白血球を顕微鏡で見る検査ですが、異形リンパ球というものが40%くらいになっています(異形リンパ球は診断基準にある5000/µlを超える)。

 

今までの検査結果と症状から伝染性単核球症(IM)という病気が考えられます。これはEBVというウイルスによる感染症で、子供の時にかかるとあまり症状が出ないのですが、大人になると発熱や咽頭痛、リンパ節腫脹などが出てきます。

 

Yさん:どのくらいで治りますか?

 

だいたい3週間くらいは熱が出続けます。それまでは解熱剤などで症状を抑える治療を行います。この病気であることの確認のために、いくつかの検査を行います(抗体など)。次回はその確認に来て頂ければと思います。それまでの間、症状を抑えるような薬はこちらから処方しますね。

 

Yさん:ありがとうございます。

 

基本的には3週間で治ると思うのですが、ごくごく稀に症状が3ヶ月とか持続する患者さんがいます。その場合は慢性活動性EBV感染症という病気の可能性もありますので、さらに検査をしますが、普通は3週間で治ると思います。

 


 

こんな感じでしょうか。

CAEBVを自分で診断したことはないので、それ以上は何とも言えませんが、EBVの症状が持続したりするのはおかしいですので、そういう場合は専門の先生に相談しましょう。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また。

 

 

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