新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

医師働き方改革検討会:少しずつ話し合われるようになってきたようです

2017-09-27 05:49:02 | 医療

おはようございます。

 

昨夜、帰宅しました。

 

四日連続で、あまり寝ることができなかったので(予想外)、昨日は疲れて寝てしまいました。

 

いくつか、この2週間の間にも気になる記事を見つけていたのですが、とりあえず1つ紹介します。

メディウォッチからです。

医師の勤務実態を精緻に調べ、業務効率化方策を検討―医師働き方改革検討会

 

 

 医師における「罰則付きの時間外労働上限規制」の特例を検討するにあたり、当面、「医師の勤務実態の精緻な把握」「労働時間の捉え方」、「勤務環境改善策」、「医療の質や安全性、健康との関係」などを議論していく—。

 9月21日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」では、こういった方針を固めました(関連記事はこちら)。年明け(2018年)早々に「今後の医師の働き方の在り方」に関するいくつかのシナリオを盛り込んだ中間整理を行い、それを2020年度以降の医学部定員の検討につなげ(医師需給分科会で議論)、さらに特例に関する議論などを深め2019年3月に報告書を取りまとめることになります。

9月21日に開催された、「第2回 医師の働き方改革に関する検討会」

病院の種類で医師の働き方がどう異なるのか、詳細に調査せよとの要請

医師も「罰則付きの時間外労働の上限規制」(▼1か月当たり45時間・1年当たり360時間の上限を違反した場合には罰則課す▼労使が合意しても年720時間(月平均60時間)の上限を超えてはならない▼労使合意による特例の上限を、2か月から6か月の平均で80時間以内、単月で100時間未満、年6回までとする)となることが決まっていますが、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があるため、検討会で「規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策」などを議論します。

厚生労働省は▼10-12月に医師の勤務実態や勤務環境改善策などを議論する▼年明け(2018年)1月に中間整理を行う(結果を踏まえて、医師需給分科会で2020年度以降の医学部定員を検討する)▼検討会で引き続き、働き方改革について検討し、2019年3月目途に報告書を取りまとめる—という大きなスケジュール案を示しました。

さらに、8月2日に開催された初会合の議論を受け、今後の論点として(1)医師の勤務実態の精緻な把握、労働時間の捉え方(労働時間への該当性や宿直・研究活動の扱いなど)(2)勤務環境改善策(タスクシフト、タスクシェア、AIの活用、勤務環境改善支援センターの機能強化など)(3)整理が必要な事項(応召義務、医療提供体制の確保、国民の理解)(4)時間外労働規制の在り方(上限の在り方、医療の質・安全性確保など)―を例示しています。

検討会における今後の論点 
このうち(1)で「勤務実態の把握」については、今年(2017年)4月に公表された「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(いわゆる10万人調査、昨年12月に実施)結果があり、例えば
医師の39%で週当たり勤務時間が60時間を超え、ほとんどが病院勤務医である
▼診療科によって勤務時間や、その内訳は多様である
▼当直回数が5-8回のケースと9回以上のケースとを比べると、「待機時間」に大きな差がある(診療時間や研究などの診療外時間に大きな差はない)
▼大学病院では勤務時間、とくに研究などの診療外時間が他病院より長い傾向にある
▼20-40代で子供のいる女性医師では勤務時間が比較的短くなる—といった状況が明らかになりました。
時間外労働が60時間を超える医師が4割弱おり、そのほとんどは病院勤務医である(10万人調査結果から)
診療科によって、時間外労働60時間となる医師の割合は異なる(10万人調査結果から)月あたりの宿直回数が5-8回と9回以上とを比べると、診療時間・診療外時間に大きな差はないが、9回以上では待機時間に大きな差があるようだ(10万人調査結果から)大学病院では、研究などの診療外時間が多く、結果として勤務時間が長くなっているようだ(10万人調査結果から)
過去最大規模で詳しく行われた「現時点で最良のエビデンス」(渋谷健司構成員・東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)となる調査結果ですが、例えば診療外時間となる研究が、自発的に行われたものなのか、管理監督の下で行われたものなのか、などは明らかになっていないという限界もあります。このため、今村聡構成員(日本医師会女性医師支援センター長)らは「勤務実態をより詳細・整理に把握するための調査」を行うよう要望。厚労省は「検討する」との答えにとどめていますが、例えば「大学病院と地方の一般病院とで、研究時間にどのような差があるのか」などをタイムスタディ形式で調べることも視野にいれた新調査設計が検討される見込みです。この点、山本修一構成員(千葉大学医学部附属病院院長)も「現在の医療提供体制、とくに救急・産科において、どれだけの時間外勤務に依存しているのかなどが見えるようにしてほしい」と強く求めています。

 (中略)

同じく(1)の労働時間の捉え方では、例えば「学会発表のための研究・資料作成」が労働時間にどこまで含まれるのか、「宿直」のうちどの部分が労働時間に含まれるのか、などを検討することになります。

(中略)

 

 

大学病院では、研究などの診療外時間が多く、結果として勤務時間が長くなっているようだ(10万人調査結果から) なお業務効率化に関しては、今村構成員らから院内会議・文書作成の効率化・簡略化を求める声が出ています。診療報酬改定に向けた議論でも、こうした指摘がなされており、2018年度の診療報酬改定における対応にも期待が集まります(関連記事はこちら)。

 

 (3)の整理が必要な事項では、▼応召義務の在り方▼医療提供体制確保との関係▼国民の理解—という難しいテーマが列挙されました。

 医師法第19条には応召義務(診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない)が定められおり、これが長時間労働を招く大きな理由の1つとなっています。この点、渋谷構成員は「時代にあった応召義務を検討することも必要かもしれない」とコメント。「国民の理解」とも関係しますが、例えば夜間の救急外来に極めて軽症の患者が来た場合にも「応召義務」があるために当直医が対応しなければならないのか、いわゆる「適正受診の啓発」というテーマにも真正面から検討が行われる見込みです。

(以下、略)


10年前から色々書いてきました。

 

医師数は人口当たりとしては少なく、医師数を増やす必要がある。ただし、教官の数が足りないので、急な増員は不可能なので、時間的距離を減らすことと医師の集約化でしばらくは対応する方が良いのではないか・・・など。

 

僕は病院勤務しかしておりませんので、こういう考え方になるのですが、昔(居酒屋)で「医師数が増えたら患者さんが減るから、歯科医師と同じようになるので開業医には不利。医師不足で良い」という医師らしい人の会話を聞きました。違う目線ではそうなるかもしれません。また、外科系の勤務医は「手術」の件数を考えると増えすぎるのは不利と考えると思います。

 

外科医の手術件数が一律に減ってしまうと、患者さんも不安だと思いますし・・・。

 

昨日、職場の方から質問がありました。

「数年前に当時の部下の方が「胃癌」になったが、職域病院ではなく外の病院にすぐ紹介された。なぜ、紹介されたのか?職域病院で手術ができる病院はあるのか?」

 

「うちの職域病院だと、どうしても患者さんの人数、手術件数に限界があります。仮ですが、手術件数が2件くらいの病院で手術をするのと200件の病院で手術をするのとどちらが良いですか? 患者さんのことを誠実に考えれば、そこは紹介になります。職域病院でも中央の方ではできるかもしれませんが、手術件数が地方では足りないかもしれません。僕だって、この1年間で新しく出た抗がん剤が6〜7種類ありますが、どれも使っていないので、情報しか知らないのです。使ってみた感じとかがわからないので、そういう不安はありますよ」

 

多分、うまく調整が必要なんです(中途半端な手術件数の病院は手術以外の病院収入が出るようにして、少ない手術件数の病院から医師や患者さんを移動とかですね)が、患者さんのこと(一人一人に向き合う時間)も手術の件数も、みんなが幸せになる方向があると思っています。

ようやく、このような話が厚労省でもなされるようになったことは、良かったと思います。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 600万アクセス達成:応援あり... | トップ | 今日はお宮参りに行きます »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
スタートライン (女王様)
2017-09-29 04:12:07
現実は難しいけれど とりあえず議論されるようになったのは進歩ですね。
電通のOLさんとか研修医さんとか 何人もの悲しい犠牲があってからの動きのようで、そう思うと遅いけれど…。

長い間、若い医師は過労で当たり前という暗黙の了解があったのだと思います。
応招義務は確かにあるし 断られたら患者側としてはとても困ります。 とはいえ クタクタでボーッとした頭で診断や手技をされても‥。

1つの手段として もう少し開業医が輪番で夜中や日曜祝日の対応が出来れば いくらか改善されるのでは?
凄い緊急ではないけれど、高齢者や小さい子は急変することはありますよね。
クリニックが診てくれたら みたいな。 私も喘息持ちなので、わざわざ夜間救急に行くかどうするか迷うこともしばしば。

明らかに喘鳴で苦しいならともかく 咳が止まらないくらいで急患は申し訳ないと思ったりしちゃいます。
が 土曜の夕方とかだと開業医はやってないし、日曜も休診だと不安になる。下手するとハッピーマンデーなんかで どうしたものかと。
自宅で終末期を送りたい人も増え 在宅訪問医療のニーズも出てきました。 多様化に応じていくためにも 総合病院集中は変わっていく時期でしょう。

軽症患者の受け入れが減る、それだけでも総合病院勤務医の過労や時間外は緩和されると思うのですが‥。
通っている市中病院は 小児科常勤医がいなくなったので、急患も中止になりました。
産科医はたった一人の常勤だけなので お産を扱いません。
そうなると今度は 受け入れている近隣の総合病院に患者が回るので ドミノ状態で収拾がつかなくなります。
医師の総数は減ってはいないのですから、開業医師を活用しない手はない。
夕方6時には終わり、完全週休2日で土曜は半日で祭日も休みって 休み過ぎますよねえ。

テレビによく出る鎌田医師が 大病院の勤務医医師の仕事が多すぎることが問題だ と話していました。
診察、研究、試験。その上実習や研修医の指導。 これをもう少し軽減しないと疲弊するのは当然だと。
せっかく議論まで漕ぎ着けたんですから 何かが変わるといいですね。

働き方改革。
風呂敷を広げただけで謎の解散をした総理といい、泥船から逃げ出した掃き溜めのような新党といい、国民のナメとんかい! 真面目にやれー!と怒りさえ湧きます。

北海道、初冠雪だそうですね。
関東も朝晩はヒンヤリしてきました。お鍋が恋しいですが、塩分もタンパク質も控えないといけないので
切ないです(涙)。
BUNが28に増えてしまい、採血で摂取塩分がバレる検査をされ 9gは多すぎると叱られ‥。

アンフェタ先生も 冷え込みと寝不足は体に毒ですから 暖かくして休養してください。
返信する
これからですね (アンフェタミン)
2017-10-01 08:00:35
>女王様さん
おはようございます。コメントありがとうございます。

おっしゃられるように、「今更・・・」というところはありますし、日本医師会や病院長会議などでは反対意見が出ているようですが、どうしても「今から」のことを考えている人たちではなさそうに思います。まぁ、ここも「今更」ですが・

開業医さんの輪番制を増やすことは可能だと思います。しかし、実は問題は「フリーアクセス」だと思います。きちんと考えてくださる方は、「当番病院」を受診してくださいます。しかし、問題になるような患者さんは「病院前まで来て電話」など、結構無茶なことをしています(笑
救急車はむしろ「初診の風邪」は断れますが、目の前にいる患者さんや病院に電話なく来た人は断ることはできません。・・・いや、人によっては断っているかもしれませんが

おっしゃられているドミノ状態。色々な地域で起きています。実はドミノが起こる可能性があるのは首都圏かもしれません。特に今回の「専攻医の上限を設ける」で地方に若手医師を無理やり振り分けた時に、彼らの頑張りに頼っていた病院が潰れて、ドミノしそうな気がします。

フェイスブックで知人の医師が乗っけていましたが、今回のことを受けて「タイムカード」を切るようになっても「30分以内に抑える」時間を超過した場合は「個人的な業務」のような影響の出ないものにするようにという病院からの事務連絡でした(笑

意味がない、病院はこんなものだというような話が上がっていました。

北海道はかなり寒くなって来ましたが、平地はもう少し積雪には時間がありそうです。
塩分調整は大変かもしれませんが、どうぞご自愛ください。

また、コメントいただければと存じます
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療」カテゴリの最新記事