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新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

高額療養費の自己負担額引き下げ:現場にいると必要性をひしひし感じます

2010-02-28 16:23:10 | 医療

こんにちは

 

先程帰ってきました。

病棟は落ち着いていて、夜中の呼び出しとかはなさそうな状況です。まぁ、予想してないときに急変するから急変なんですけどね。

 

さて、昨日のアメリカの保険制度に関しての記事に続きまして、日本の医療関係でこちらの記事を紹介します。

 

<慢性疾患>生涯ローン…7割が「医療費重い」 東大調査

2月28日2時32分配信 毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100228-00000005-mai-soci  

がんや糖尿病などの治療を継続している患者らのうち、約7割が医療費の支払いに負担を感じていることが、東京大医科学研究所の研究チームの調査で分かった。医療費の高さなどを理由に治療の中止を考えたことがある患者らは約4割いた年齢や所得に応じて治療費の支払いを抑える国の高額療養費制度の自己負担上限額が徐々に引き上げられたのに加え、景気悪化に伴う収入減が追い打ちをかけているとみられる。  

◇自己負担上限引き上げが響く  

研究チームは、慢性疾患の患者会約300団体と患者個人にアンケートへの協力を依頼。昨年12月から今年1月までに回答のあった計77種類の疾患患者ら227人分を分析し、5年前と比較した。  

「先の見えない慢性疾患は、生きている限り続く生涯ローン」「安心して(病気の)子どもを残し他界できない」。アンケートから治療費負担にあえぐ患者の困窮ぶりが浮かんだ。  5年前に比べ年間医療費は平均30万円と変わらなかったが、世帯総所得は09年が平均430万円で5年前から20万円減少した。医療費の支払いに負担を感じている割合は09年が69%。5年前に既に発症していた患者ら(227人中144人)のうち当時負担を感じていた割合は49%で、約1.4倍に増えた。全体の38%は治療中止を考えたことがあり、そのうち83%が医療費の高さを理由に挙げた。  

 

高額療養費制度を利用している患者らは全体の51%いたが、そのうち自己負担の上限額が「大変高額」「やや高額」と答えた割合は計92%に達し、90%は上限額を「引き下げてほしい」と答えた。月々に支払える金額を尋ねると、1万円が最も多く、5000円、2万円などが続いた。  

 

一方、国の高額療養費制度は70歳未満の一般所得者の場合、最低でも月4万4400円で、患者らが無理なく負担できる金額とは隔たりがある。制度ができた73年、自己負担上限額は3万円だったが収入の増加などと共に引き上げられてきた。  

血糖値を下げるインスリンを体内で作れず、インスリン注射をしなければ数日で昏睡(こんすい)状態に陥る1型糖尿病患者の千葉県の女性(34)は夫と2人暮らし。「医療費が家計を圧迫していて、子供を産んでもかわいそう。(糖尿病による)合併症が増える一方なのに、働かなければ生きてゆけない」とつづった。  

乳がん患者も化学療法などのため治療費が高くなる傾向がある。夫と子どもと3人で暮らす栃木県の女性(50)は治療のため退職した。「長生きしたいと思うことが、家族の負担になることがつらい」と嘆いた。  

調査した同研究所の児玉有子特任研究員は「国は上限額引き下げなど負担軽減に向けた議論を早急に始めるべきだ」と話している。【河内敏康】

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いろいろ難しいところだと思います。

 

昔、慢性骨髄性白血病の患者さんに

グリベックが高額でこれ以上飲み続けられない

という話を聞かされました。

 

先日、急性骨髄性白血病の患者さんが

入院加療が続く以上、高額療養費制度などを用いても家族が路頭に迷うのは明らかであり、家族を犠牲にして自分が治療を続けることはできない

と言って、入院治療の拒否をされた患者さんもいます。

 

この時は「入院治療ができるような支援体制」を構築できるように頑張ってもらって、可能であれば再入院して治療…と言いました。

 

日本の国民皆保険制度・・・。

医療機関を受診しない国民にとっては

なんで病院を受診したこともないのに保険料を払い続けないといけないのだ

と思われるかもしれません。

 

 「助け合いの精神」と「自分が実際に病気になったとき(お互いさまの精神)」という二つの面で…といっても余裕のある人にとっては通じるかもしれませんが、実際に…共働きで働いてなんとか保険料を納めている家庭とか、納められていない家庭では

人の面倒まで見られるか

と考えるところもあると思います。

 

 

ただ、「病気になった方」は似たような状況になっていると思います。

 

時折、一部自業自得のような生活を繰り返した上に「透析になったら医療費がただになるから・・・」といっていた糖尿病の患者さんも知っていますが、そういう人以外で。

 

…特にがん患者さんで長期の入院が必要な方は…助け合いが必要な方が多いと思います。

 

そんな方々を助けるための「高額療養費の自己負担額上限引き下げ」は達成していただきたいように思います。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

何かを変えなくてはならないのでしょうが、今はまだ思いつかないですね。

 

「癌の撲滅」が達成できて、癌患者さんが出現しなくなって、医療費が削減できるようになれば…僕ら医者は…やることがなくなるかもしれませんが、多くの国民や国にとって生活がよりよくなるのでしょうけど…。

 

そういう何かを作り出していければと、いつも夢みたいなことを考えています。

 

 

それでは、また。

コメント (4)
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