昭和47年の都電の乗車券です。
私の家族が住んでいた江東区は、「陸の孤島」とも言われていました。地下鉄東西線が東陽町まで開通する以前は、区内にある鉄道の旅客駅は国鉄(当時)亀戸駅だけ。そんな下町の人々の足として活躍していたのが都電でした。
前作「ALWAYS 三丁目の夕日」には金太郎塗装と言われる緑と黄色のツートンカラーの都電が登場しましたが、私の記憶にある都電は新塗装の方です。
夜行列車で上京する親戚を上野駅に迎えに行く時には、38系統で日本橋へ出て地下鉄銀座線を利用しました。
当時の都電には、朝の通勤ラッシュもあったのです。文字通りぎゅうぎゅう詰めの車内にいる小さな子供を見かねた車掌さんが、後部の運転席へ私と弟を「避難」させてくれたこともありました。
そんな私たちの定番の遊びが「都電ごっこ」でした。今になってみれば、電車ごっこといえば運転手さんのような気がするのですが、私たちがよく遊んだのは「車掌さんごっこ」の方でした。
新聞紙や週刊誌を細長く切ったものを束ねて、上の部分を輪ゴムで止めれば、切符のできあがり。おもちゃの切符ハサミを持って、「え~、次は○○です。乗車券をお持ちでない方はいらっしゃいますかぁ」などと真似っこするわけですね。
写真の切符は、回数券ではなく車掌さんが束にして持っていた本物です。上京して以来長い間お世話になった38系統が廃止される昭和47年11月12日、車掌さんに「切り離さずに、つながった一枚を売ってください」とお願いして手に入れたものだと思います。
私が鉄道模型に興味を持つようになったのは今年になってからですが、もしかすると、35年前からその「兆し」はあったのかもしれません(^^;