鈴木オート裏にある井戸です。
ここで洗濯をしている淳之介に、一平が「デリカシーって、なんだか知ってる?」と尋ねるシーンは予告編でもおなじみです。
私は「アメリカのお菓子かなぁ?」「高いのかなぁ?」という「落ち」の方にばかり気をとられていました。
ところが、今頃になって私は、一平が「"どうしても" デリカシーが欲しいんだ」とも言っていることに気がつきました。
この時すでに、一平は「初めての恋」に落ちてしまっていたのですね(^^;
木曜日の夜、近くのシネコンで3回目の劇場鑑賞をしました。毎回新しい発見があるのですが、今回はとても丁寧に描かれた「一平の初恋」にやられました。
鈴木家のすき焼きを「豚肉はすき焼きじゃない」と言い、「もうイヤ、こんな家。成城のお家に帰りたい」とまで口走ってしまった美加ちゃん。
こんな美加ちゃんが許せなかった一平ですが、彼女の色鉛筆ケースの中身を見てしまった時に、「守ってあげたい」という気持ちが芽生えたのかもしれません。これって、男の子にとって「恋の兆し」ですよね(^^;
その後、美加ちゃんはトモエさんの家事を進んで手伝うようになり、タロとの関わりなどを通じて一平とも仲良くなっていくのですが、別れは思いの外早くやってきます。
美加ちゃんを迎えにきたお父さんのおみやげのシュークリームを、ムシャムシャとかぶりつく一平の心情を思うと、微笑ましくて、好ましくて、切なくて....。
美加ちゃんのためにお小遣いを貯めて、ようやく買った24色の色鉛筆。別れの時が来てもそれを渡すことができなかった一平ですが、六ちゃんの一言に背中を押され、ようやく思いを果たします。
その後、お父さんと一緒に横町の角を曲がり、一平の視野から消えた美加ちゃんがいったん戻ってきて、大きな声で一平に思いがけない「告白」を!!
この時の一平の表情は、なんともいえず素晴らしいものでした。実はこのシーンには「山崎マジック」が隠されていたようです。
一平役の小清水一揮くんが「俺を本気にさせました」と告白する、山崎監督のマジックの秘密は「劇場パンフレット P.13」で明かされています。