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さっさ日記

2011年4月からプラントエンジ会社勤務。ただいまベネズエラに出張中

RBM(Risk Based Management)

2010年09月15日 | 大学関係
今日の夜、秋葉原の産総研事務所であったセミナーに参加しました。
内容は、プラントの保安システムの手法である、リスクベースメンテナンス(RBM)の紹介とその現状についてです。

現在、日本の多くのプラントでは、そのメンテナンスを時間ベース(TBM:Time Based Management)で行っています。
各々の部品や装置によって、劣化の速度等が違うため、検査間隔には違いがあるそうですが、時間を基準にしていることには変わりありません。
この場合、実際には交換する必要のない部品を交換したり、点検頻度を過剰に設定してしまうことによって必要以上のコストが発生したり、基準の不明確さといった問題がつきまといます。

今回、紹介されたRBMでは、それぞれの装置の状況に応じてリスク(破壊確率、被害額等)を割り出し、それをカテゴリーに分けます。そして、危険性の高い”許容不可”や”要計画変更”にカテゴライズされたものを、なんらかの対策を行うことで”許容”もしくは”条件つき許容”レベルまで下げていきます。さらに、劣化の開始時期や劣化速度が分かれば、次回までの適正な検査間隔を設定することができます。

実際、海外ではRBMは随分普及しており、専門のコンサルタントもそれ自体が産業として成り立つほどであるとのことです。一方で、日本ではまだほとんど運用されておらず、導入する場合は海外のコンサルタントに任せる例が多いそうです。これは日本企業が海外に作ったプラントについても同じです。
ヨーロッパやアメリカでなくとも、東南アジアや南米に作ったプラントにもRBMは導入されており、日本は完全に潮流から取り残されているようです。

日本云々の話は置いておくとしても、状況を適切に把握し、リスクに応じたマネジメントをすることによるメリットは非常に大きいので、自分も職業がら、もう少し勉強しておこうと思います。
ちなみに、自分の研究室でも数年まえからRBMの研究が始まりました。化学プラントに限らず、様々な分野への応用も大いに考えられるので、今後の発展が楽しみです。