―表象の森― EVEの夜に
いっかな御輿を上げないままとうとう師走がきて、今年唯一のDANCE CAFÉは、会場取りの関係もあって、EVEの夜となってしまった。
きのう作ったその案内ページを以下にご紹介しておく。
―山頭火の一句― 行乞記再び -121
5月1日、まつたく五月だ、緑平居の温情に浸つてゐる。
熱があるとみえて歯がうづくには困つたが、洗濯したり読書したり、散歩したり談笑したり。
彼女からの小包が届いてゐた、破れた綿入を脱ぎ捨てて袷に更へることが出来た、かういふ場合には私とても彼女に対して合掌の気持になる。
廃坑を散歩した、アカシアの若葉がうつくしい、月草を摘んできて机上の壺に挿して置く。
放哉書簡集を読む、放哉坊が死生を無視-敢て超越とはいはない、彼はむしろ死に急ぎすぎてゐた-してゐたのは羨ましい、私はこれまで二度も三度も自殺をはかつたけれど、その場合でも生の執着がなかつたとはいひきれない-未遂にをはつたのがその証拠の一つだ-。
筍を、肉を、すべてのものをやはらかく料理して下さる奥さんの心づくしが身にしみた-私の歯痛を思ひやつて下さつて-。
緑平老は、あやにく宿直が断りきれないので、晩餐後、私もいつしよに病院へ行く、ネロ-その名にふさはしくない飼犬-もついてくる。
緑平居に多いのは、そら豆、蕗、金盞花である、主人公も奥さんも物事に拘泥しない性質だから、庭やら畑やら草も野菜も共存共栄だ、それが私にはほんたうにうれしい。
※表題句の外、7句を記す。
Photo/山頭火と木村緑平
Photo/緑平は柳川の人、その終焉の地に立つ顕彰碑
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