山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

冬の山が鳴る人を待つ日は

2012-01-12 22:20:01 | 文化・芸術
Nenga2012

―日々余話― ご年詞

正月の松の内とは、近年はどうやら7日説が有力のようだが、抑もは15日までを指した筈。
今日はまだ12日だから、遅まきながらとはいえ、この場を借りて年始の挨拶を掲げても、咎め立てはうけまい。

今夕、受け取ったおケイさん-河東けい-からの手紙-
韓国の演出家による「小町風伝」が近くあるというのは知っていたが、おケイさん-河東けい-が、その小町を演じるとは、つゆ知らず‥。彼女からの書面で知るところとなったが、その添書きがおもしろい。

「もともと、無言の100才の老婆の筈!
なのに、喋るワ、踊らんならんワ、うたわんならんワ。
エーッ、何やらすんやと、ノイローゼです。
1月9日から稽古、どんなことになるか分りませんが、どうぞご覧になって下さい」と。

コイツは、どうでも観に行かずばなるまいネェ。

01121

―山頭火の一句― 其中日記-昭和9年-259

2月7日
快晴、心身ややなつたやうだ。
昨夜もねむれなかつた、ほとんど徹夜して読書した。
心が沈んでゆく、泥沼に落ちたやうに、――しづかにして落ちつけない、落ちついてゐていらいらする、それは生理的に酒精中毒、心理的には孤独感からきていることは、私自身に解りすぎるほど解つてはゐるが、さて、どうしようもないではないか!
その根本は何か、それは私の素質-temperament-そのものだ。
生きてゐることが苦しくなつてくる、といつて、死ぬることは何となく恐ろしい、生死去来は生死去来なりといふ覚悟はもつてゐるつもりだけれど、いまの、ここの、わたしはカルチモンによつてでもゴマカすより外はない!
シヨウチユウを二杯ひつかけてきた、むろんカケだ、そして樹明君を訪ねて話す。
風、風がふく、風はさびしい。
昼寝、何ぞ夢の多きや、悪夢の連続だつた。-略- 
蓑虫がぶらりとぶらさがつてゐる、蓑虫よ、殻の中は平安だらう、人間の私は虫のお前をうらやむよ。-略-
待つてゐた敬坊がやつてきてくれた、間もなく樹明君もきてくれた、お土産の般若湯がうまいことうまいこと。
それから三人で雨の中を街へ、ほどよく飲み直して戻る、樹明君よく帰りましたね、敬治君よく泊りましたね、そして山頭火もよく寝ましたよ。
ほんに、とろとろ、ぐうぐうだつた!

※表題句の外、24句を記す

Santohka_31

Photo/「うしろすがたの‥山頭火」初演の舞台より-19年前だから我ながらさすがに若い


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