山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

仕事のをはりほつかり灯つた

2011-10-20 17:16:09 | 文化・芸術
Santouka081130003

―表象の森― 最強Improviser +

いつも神戸の酒心館で催される角正之の7回目となる舞打楽暦-まんだらごよみ-は、ヨーロツパ最強Improviserと称し、この10月、東京、横浜、名古屋、京都、神戸そして九州と、各都市12箇所を遍歴Tourする即興Trio、Soprano-Saxのミッシェル・ドネダ、Percussionのル・カン・ニン、Contrabassの齋藤徹たちとのDocking-Performance。

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さらに音のほうでは、いつもこのシリーズででコンビを組む大蔵流小鼓方の久田舜一郎が、踊りのほうでは韓国の辛恩珠が加わるという即興Liveであれば、音とDance、緊迫の時空堪能の一夜となるのもむべなるかな。
とりわけ洋楽の即興Trioに、能の小鼓が参入対峙するとあれば、嘗ての武満徹作品世界にみるまでもなく、音宇宙の緊迫度は増幅してやまぬものがあるだろうし、多彩な小道具を駆使して意外性に満ちた飄逸な音の数々を繰り出すル・カン・ニンの鬼才ぶりが、その濃密度をよく増幅させていた、と受け止めた。
韓国の辛恩珠は、動きのsimpleさと相まってclearな印象を残した。それが音世界ともよくかみあっていたといえるだろう。
一つ難をいえば、2部の終わりちかく、音が単調なup-tempoを繰り返していたあたり、これに合わせたかのようなゆすり・ふりの動きが生硬なままに終始していたのが些か興醒めだった。

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―山頭火の一句― 行乞記再び-昭和7年-252

9月18日、晴、すこし風があつた。
満州事変一周年記念日、方々で色々の催ほしがある。
私は朝から夕まで一日中其中庵で働らいた。
庵は山手山の麓、閑静にして申分なし、しづかで、しかもさみしうないといふ語句を用ひたい。
椿の木の多いところ、その花がぽとりぽとりと心をうつことだらう。柿の木も多い、此頃は枝もたれんばかりに実をつけてゐる、山手柿といつて賞味されるといふ。
彼岸花も多く咲いてゐる、家のまはりはそこもここも赤い。
樹明は竹格子を造り、冬村は瓦を葺く、そして山頭火は障子を洗ふ。
樹明、冬村共力して、忽ちのうちに、塵取を作り、箒を作り、何やらかやら作つてくれた。
電灯がついてから、竹輪で一杯やつて別れた-ここはまさに酒屋へ三里、豆腐屋へ二里の感じだ-。
-略- 四日ぶりの入浴、ああくたびれた。
其中庵には次のやうな立札を建つべきか、-
  歓迎葷酒入庵室
或は又、-
  酒なき者は入るべからず
労働と酒とのおかげで、ぐつすり寝た、夢も見なかつた、このぐらゐ熟睡安眠したことはめつたにない。-略-

※表題句の外、6句を記す

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Photo/二人子連れ、越前の旅-東尋坊-‘11.10.09


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