山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

たゞ居るまゝに肱わづらふ

2008-08-12 13:29:46 | 文化・芸術
Alti200624

―世間虚仮― 北京五輪の陰で‥

「田中宇の国債ニュース解説」によれば、
北京五輪開催の日のその朝、新しく建て替えられたアメリカの大使館開設式が、訪中したブッシュ大統領出席のもとに盛大に行われた、という。

北京のこの新しい米大使館の規模は、復興中のイラク、バグダッドにある米大使館-此処ではなんと5000人の職員を数えるという-を除けば、職員の数を従来の500人から1000人へと倍増し、世界各国の米大使館のなかで最大のものとなるらしい。

これに先立ち、今年の7月、中国側がワシントンDCに新しい大使館を建設、開設しているが、これまた、ワシントンに在る世界各国の大使館のなかで最も大きい規模のもの、というのだ。

米大統領としては、他国のオリンピック開会式に出席するなどと、まったく初めての異例事で祝意を表したことを考え合わせても、いわば、北京五輪を機に世界の覇権は米中二軸時代に突入した、のだという両国の自覚とも意思表示ともみえる出来事かと思われる。

<連句の世界-安東次男「風狂始末-芭蕉連句評釈」より>

「梅が香の巻」-20

  東風かぜに糞のいきれを吹まはし 

   たゞ居るまゝに肱わづらふ   野坡

肱-かいな-

次男曰く、前句が「吹まはし」と云ったから、「たゞ居るまゝに」と、逆らわぬ体に承けている。

息を詰めてみても、じっとしていも、痛みは治らぬというところが笑いだ。花仕舞い頃の気候不順に着目して人情を取出した付で、「肱わづらふ」は神経痛、リュウマチなどに悩むさまである。

「農家の春は用の暇多きを言なり」-秘注-、「閑多き者は病多き世のならひ、春の農間にそら手又は四十手など患負ふるなり。東風の吹く日は特に痛むものなり」-露伴-、などと云うが、農とは限らない、と。


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