あいらのひみつ箱

2006年の年明けとともにジュリーに堕ちました。日の浅いファンが 勝手な思いを書き連ねるゆるいブログです。

チャコール・グレイの肖像②

2010-01-23 18:32:43 | アルバムレビュー
※①の続きです。
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6.片腕の賭博師
流麗かつキレのあるピアノと痛快な歌詞が印象に残ります。一曲だけ異世界のような設定の詞ですね~。
70年代日本から、いきなり「ネバダの賭博師さ」ですから。
でもどうしても、外人さんではなく、バクチを打つ八村八郎さんの姿しか思い浮かびませんわ
詳しくは解りませんが、ギターはスライドさせて弾いてるような?箇所が多くてカッコイイイですね。
なんだかレトロに感じてしまうのは、ツクツクツクツク タータってなギターのせいでしょうか。

7.ヘヴィーだね
じゅり本人作詞作曲のけだるげな曲。まさに投げやりな空気が漂ってますわね。
ド頭の、一瞬「どこまで行ってしまうのか」と思わせるような上昇音階に続き、
アルペジオの伴奏に乗せて奏でられるギターのメロディー、音色が何とも秀逸。
♪OH~ベイベー♪ポロポロン♪と入るピアノもステキ。
今、中々こういう曲ってないですよね。じゅり本人の曲も含めて。
「じゅり~!キャー!」という感じじゃなく、一人グラスを傾け、自嘲的に微笑する若じゅりの姿が
浮かんできますわ。
2番になると、じゅりの声、少し酔いが回ってきたみたいに聴こえます。
そして最後、前奏と同じギターのメロディーに戻り、そのまま夜が深まっていく・・・
そんな倦怠感が魅力的な曲です。

8.ロ・メロメロ
前曲とは180度転換して、明るくキュートなじゅりですわ~いつもは飛ばしちゃっててごめんね、じゅり(オイ
伴奏の要はリズミカルなピアノでしょうね。
間奏のピアノ&女声コーラスはおしゃれですが、コミカルでもあり楽しい気分になります。
2番からはそのまま、女声コーラスがずっと入りにぎやかに。
(個人的にはコーラス入り過ぎだと思いますが・・・)♪ワワワワー ハァ~♪って、おもしろいけどね。
しかししかし!なんちゅう歌詞なんですか~(笑)
100歩譲って「メロメロ」はともかく、頭の「ロ」ってナンデスカ?てか、何語?
丸顔、丸い鼻、小さい目、太目の足・・・・一般的にはハンディありすぎだけど~そういうのがタイプ
なのか~と邪推してしまうのでした。(いやいや、あくまでも歌詞でしょ)

9.影絵
暗闇からボゥーと浮かび上がってくるようなイントロで始まり、結構長い曲なんですが、気がつくと
聴き終わっていて、「あれ、聴いたっけ?」となったりします。
魂が抜ける感じって、解って頂けるかしら?
こんな曲も作るんだなーじゅりってば。
つぶやくようだったり、搾り出すようだったり、声の表現力に圧倒されてしまいます。
詞は「燃えつきた二人」の松本隆さん。超有名作詞家さんですわね。
♪黒は 悲しい ♪黒は 寂しい ♪まるで影絵の俺とお前・・・
胸が詰まるような詞に、いとも簡単に声色をピッタリと合わせられるのはもう、「じゅり、凄い」としか
言いようがありませんわ。2番からはより一層搾り出すように
♪黒は(ぁああっ)♪
最後の繰り返しではさらに
♪黒は(ぁああああっ)淋しい♪
「声」と言っていいのかわからないけど、「吐息」というのとも違っていて・・・・やはり「声」なんでしょうね。
聴くたびにハッとしてしまう声です。
途中ちりばめられているビブラフォン(??)のような音も、もやがかかったようで美しいです。

10.あのままだよ
サリーって、このときもう井上バンドに居ないですよね?でも詞の提供はしてくれたのね。
気のせいか、曲もPYG風に聴こえますわ。
重たい空気が漂う中で、語りかけるような詞をとつとつと歌う声は、ちょっと苦しげな感じもします。
どうしてこんな押し殺したような声で歌ってるんだろう、と思っちゃいますが、
「色々な思いを押し殺してつづられた言葉」的な詞を汲んでの発声なんでしょうかね。
「押し殺して」というのがこの曲のキーかな、などと思ったりしてます。
♪そう 俺は あのままだよ
後奏なしでスパッと途切れるエンディングに、確固たる意志を感じます。


【あとがき】
このアルバムの曲を一曲ごとに見れば、明るい曲もあれば、暗い曲もあり、ロック、フォーク、その他
色々な要素が盛り込まれてるのかも知れません。
でも、全体を通しで聴いていて浮かんでくるのは、孤独感、けだるさ、鬱々とした内向きな感情みたいな
ものなんですよね。
・・・うまく言えませんが。
何というか、ナイーブで傷つきやすい青年像が浮かびます。
だから、暗い曲のほうによりグッときますわ。
フェイバリットソング'sは「夜の河を渡る前に」「ヘヴィーだね」「影絵」かな。
他にもかなり捨てがたい曲ありますけど~
尚、このアルバムを最後に、77年からじゅりの曲は「阿久悠の世界」へ突入ですわ~。
アルバムレビューもガラッと内容が変わることでしょう。
好みの問題はともかく、オケサウンドが混ざるほうが、個人的にはレビュー書きやすいので、
張り切っていこうと思います
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(終わり)