弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

匿名の権利侵害者にどう対処するか②

2014-08-26 14:45:59 | 知財一般

昨日,発信者情報開示請求は著作権や商標権の侵害事案にも使えると書きました。

今日はその続き。

 

裁判所の判例データベースを見ると,東京地裁でなされた発信者情報開示請求事件の判決文がたまに掲載されます。

データベース上での数は少ないですが,事案としては,著作権侵害,商標権侵害,不正競争行為の例があり,中でも著作権侵害の案件がほとんどです。

 

最近載ったものでは,同じような事案が連続していました。

レコード製作会社(キングレコード,ユニバーサルミュージック,ポニーキャニオン等)が原告となって,接続プロバイダ(KDDIやソフトバンクBB)に対し,発信者情報の開示を求めた事案です。

どうやら,誰かが,AKB48の楽曲(「大声ダイヤモンド」←知らない(-_-;)),その他の楽曲を複製してパソコンのハードディスクに保存し,ファイル交換ソフト(Gnutella)を使えばその楽曲データをネット上で自由にダウンロードできる状態になっていたようです。

これは,レコード製作会社の著作権(厳密に言えば,公衆送信権)侵害となります。

軽い気持ちなのかもしれませんが,こういうことしちゃダメですね。

 

レコード製作会社としては,そのような行為をやめさせたいし,場合によっては損害賠償請求,刑事告訴をしたいと考えているのだと思いますが,いかんせん,相手がわからない。

ただ,クロスワープ社が提供する著作権の監視システムにより,相手のIPアドレスは判明していたようです(IPアドレスも不明なら,まずIPアドレスの開示請求も必要となります。)。

なので,そのIPアドレスが割り当てられている者の情報を開示せよと求めたわけです。

 

ちなみに,IPアドレスというのは,電話番号みたいなものです。

携帯電話を契約すると,契約者に番号が割り当てられるのと同じで,ネット接続の契約をすると,パソコンに番号が割り当てられます。

個人的に番号を教え合わない限り,電話番号を見ただけでは,その番号を使っている携帯電話の持ち主は誰なのかわかりません。

でも,携帯電話会社は,その電話番号を使っているのが誰なのか知っています。

それと同じで,接続プロバイダは,その割り当てられた番号(IPアドレス)は誰なのかという情報を持っているため,それを開示してほしいと求めるのです

 

接続プロバイダの側は,第三者による成りすまし等の可能性もあるとか,クロスワープ社の監視システムには信頼性がないなどと争いましたが,排斥されています。

 

このように,自己の著作権や商標権が侵害されているけど,侵害者が誰かわからないという場合には,発信者情報開示請求によって特定するという手法が使えるんですね。

 

あともう1回続く。

 

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