弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

パブリシティ権続き

2015-02-13 23:07:23 | 知財一般

前回の記事は、表題のおかげか、いつもよりも閲覧者数が増えました。

オッパイさまさまですね。

 

さて、前回の記事の中で、ピンクレディー事件というものにチラッと触れました。

今日は、そのピンクレディー事件(最判平成24年2月2日判決)について補足しようかと。

最近とはいえ、もう2年前の判決ですが…

 

事件の概要はこうです。

「女性自身」という雑誌に、「ピンク・レディー de ダイエット」という記事が掲載され、ピンクレディーの振り付けを用いたクリス松村さん考案のダイエット法が紹介されました。

その記事に、ピンクレディーのお二人の写真が、許可なく掲載されたということで、パブリシティ権侵害を理由に提訴しました。

なお、写真そのものは、雑誌社が過去に承諾を得て撮影したものなので、著作権は問題になりません。

 

第1審も第2審もパブリシティ権の侵害を否定しました。

そこで、原告のピンクレディー側が上告し、最高裁で判断されることになったというわけ。

 

前回の記事でも触れたように、最高裁は、

・人の氏名や肖像について、人格権に由来する権利として、顧客吸引力を排他的に利用する権利(パブリシティ権)を認める一方、

・表現行為とのバランスを考え、

「肖像等を無断で使用する行為は、

 1 肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、

    例) ブロマイド、グラビア写真など

 2 商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し、

    例) キャラクター商品など

 3 肖像等を商品等の広告として使用するなど、

専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、パブリシティ権を侵害するものとして、不法行為法上違法となる。」

と、3つの類型を挙げて、侵害判断の基準を示しました。

 

その上で、本件の記事は、

・ダイエット法を紹介するものであること

・約200頁中の3頁であること

・白黒写真で、大きさもそれほど大きくない

といった事実から、写真は、記事内容の補足目的で使用されただけで、上記の基準にあてはまらないので侵害しないと結論付けています。

 

以上のような最高裁の判断からすると、 

事業や商品の宣伝広告目的で、有名人の氏名や肖像を使うのは全くのNG。

勝手にキャラクター商品(Tシャツとか下敷きとか)を作るのもNG。

 

一方で、著作権法での「引用」のように、例えばブログ等の記事を書く場合などで、必要かつ相当な範囲であれば氏名や肖像を載せてもセーフ。

あとは、来店した有名人と撮影した写真を店に飾るのもセーフかな。

Tシャツとか下敷き等の作成も、私的な使用ならセーフ。

 

ちなみに、肖像が写真の場合は、それを撮影した人の著作権が別途問題になります。

必要かつ相当な範囲として「引用」したり、私的に使用するだけなら、写真の使用もセーフです。

 

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