いきなり営業秘密とは関係ないですが、おとついの記事で、司法修習生はそろそろ二回試験かな、と書いた件、どうやら今日が初日のようです。
この二回試験、正式には「司法修習生考試」と言いまして、司法修習の最後に行われます。
言ってみれば卒業試験のようなものですね。
9割5分以上は合格するので、よっぽど致命的なミスをしない限り大丈夫なんですけど。
各修習生に受験票が配布され、当日も受験番号順に着席し、外部委託された試験監督により試験が管理されるという、列記とした国家試験です。
試験科目は合計5科目(民事裁判、民事弁護、刑事裁判、検察、刑事弁護)。
1科目でも不合格になると、司法修習が修了できず、法曹資格も得られません(翌年に再受験するハメに)。
試験は、1日1科目ずつ。
朝から夕方までぶっ通しで(確か試験時間は7時間半だったか8時間くらい。)、けっこう過酷です。
今思うと懐かしいですけどね。
そんなわけで、修習生のみなさんには、頑張って二回試験を乗り切ってもらいたいものです。
さて、今日は、以前から継続してきた営業秘密の話を。
ようやく今日で最後です。
前回、営業秘密として情報が保護されるための要件の一つ、「秘密管理性」について、次の3つのポイントを示しました。
① 営業秘密として保護すべき情報の特定(何が営業秘密であるのか)
② 営業秘密であるとの客観的な認識可能性
③ アクセス制限
このうち、①について前回説明したわけですが、②③が積み残しになってました。
②③に関しては、相互に関連しますが、まずは③のアクセス制限です。それを行ったことが周知されれば、秘密だという認識ができますので。
このアクセス制限には、いろいろやり方があると思います。
たとえば、
・情報が文書化されていれば、その文書に「部外秘」と示すとともに、施錠可能な特定の場所に保管し、限定された人だけが開錠できるようにする。
・「部外秘」文書の持ち出しを許可制にして、複写も禁止(複写しても使用後は破棄を徹底する)。
・情報がデータであれば、外部ネットワークから遮断し、パスワードをかけて管理、アクセスできる人も限定する。もちろん、USBメモリ等へのコピーは禁止。
というような感じです。
定期的にアナウンスして注意を喚起したり、情報を扱う人には、秘密保持契約や誓約書によって秘密保持義務を課すといった対応も考えられます。
このように管理を徹底すれば、「秘密管理性」に関しては問題ないわけです。
ただ、大企業ならともかく、中小企業でそこまでガチガチに管理を徹底するとなると、今度は日常業務に支障が出てしまい、管理が難しいという面も、当然あると思います。
そうなると、結局、管理がなあなあになってしまいかねません。
でも、それではいかんのですよね。
現状では、情報が営業秘密として保護されるには、「秘密管理性」という要件が必要です。
管理がゆるゆるでは、後からそれは秘密情報だ!と主張しても認められづらくなってしまいます。
業務とのバランスも、もちろん大切ですが、あとで情報が洩れて泣かないためにも、最低限やるべきことはやっておくことは必要です。
つまり、何が秘密情報なのかを特定し、そのうえで、
・文書等には部外秘等と表示する
・データにパスワードかけたり、施錠できる書棚に入れて管理する
・情報を扱える人をできるだけ制限する(他の人は扱えないようにする)
・管理状況を定期的に確認する
といった程度のことは実施しておくとよいと思います。
ちなみに、この営業秘密に関して、最近、情報流出事件が多発していることを重く視て、情報保護を手厚するための検討がされているようです。
ただ、仮に法改正等がされるとしても、「秘密管理性」の要件がなくなってしまうことはないと思うので、上で指摘した最低限のことくらいはきちんと実施しておくべきでしょうね。
営業秘密の記事、ずいぶん引っ張りましたけど、こんなところでひとまず終わり。
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