弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

営業秘密を巡る最近の話題

2015-01-21 18:46:29 | 知財一般

☆ 最初は時事ネタから。

東芝の半導体メモリに関する情報を韓国企業に漏らしたの刑事事件で、昨日、初公判があったようですね。

 日経の記事はこちら

被告人は、起訴内容を認めたそうです。

起訴内容を認めつつ、弁護人が「秘匿性の高い情報ではなかった。」と主張していますが、これは、情状(量刑にかかわる事情)のうち、犯情(犯罪事実に関する情状)の主張です。

つまり、有用な情報ではなかったのだから、科される刑罰は軽いはずだというわけです。

検察側は、極めて有用な情報だったと主張しているので、その立証のための証人尋問が次回行われるのでしょうね。

韓国企業(SKハイニックス)との民事訴訟で、和解金が約330億円にもなった案件なので、有用性は低いという主張はなかなか難しいのではないかと。

 

とはいえ、被告人がそう考えているのであれば、弁護人としてはそう主張しなければならないです。

それが弁護人の役割なので。

 

☆ 産業構造審議会情報

さて、営業秘密といえば、経産省の産業構造審議会知的財産分科会(営業秘密の保護・活用に関する小委員会)における議論が進みつつあります。

議論の方向性が少し見えてきたので、ここで取り上げたいと思います。

 

審議されている事項は、いくつかあるのですが、まずは、営業秘密管理指針について。

 

この営業秘密管理指針というのは、従来から、経産省のホームページ上で公表されていました。

情報が営業秘密と認められるための要件である「秘密管理性」について、判例の検討を踏まえながら、具体的にどう管理していけばよいのかについて、指針が示されていました。

ところが、この管理指針、平成15年以来何度も改訂され、あれもこれもと盛り込みすぎたせいで、現状では全部で89ページという大部です。

ページ数だけで読む気が失せますし、中身も、あれこれ盛り込みすぎてしまいました。

で、結局どうするればいいかよくわからん、という状態にあり、非常にわかりにくいものでした。

 

そのような問題意識から、もっとわかりやすいものを、ということで、全面改訂されることになりました。

その改定案が公表されています(まだドラフト段階で正式版ではないですが…)。 → こちら

 

改訂後の指針は、情報の管理として、最低限、何をすればよいのかを示すという方針で作成され、情報の状態(紙に書かれているのか、データとしてあるのか等)に応じて、具体的にどうすればよいのかが示されています。

なので、結構わかりやすい形になっているのではないかなと思います。

 

しばらくすると、正式版がリリースされると思います。

情報流出対策を考える際の一つの参考資料となりますね。

 

あと、審議会では、不競法の改正も議論の対象となっていますが、そのあたりはまた次回に。

 

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