事業者の皆さん、個人事業か法人にかかわらず、取引に際して契約書、作ってますか?
作ってますよね!
んっ、作ってない? ならばちゃんと作りましょう。
でもって、契約書を作るとします。
その場合、できるだけ自分に有利となるようにしようと考えたくなりますよね。
自分に有利となるように作って、その思惑通り、相手も合意した。
では、契約相手と訴訟になった場合に、その合意内容は、すべてそのまま裁判所で認められるのでしょうか?
もちろん、「双方合意した」というのは重要な事実ですし、契約書でその証明もできます。
このため、契約書に書かれている内容にしたがって、裁判所も判断する可能性が高いです。
とはいえ、その内容が、あまりに一方的すぎると、公平(バランス)という観点から、裁判所が制限することもあるんです。
一例として、知財高判平成26.4.23という裁判例があります。
映像制作会社X社が、カメラマンYに、山野草の映像撮影を委託した。
Yは、X社に、その山野草の映像Aを納入したが、同じ機会に撮影した映像Bを第三者に販売したという事案。
Yは、映像Bは自分の物だと主張したのですが、契約書の合意内容から、映像BもX社に譲渡すべきものとされました。
Yは、それに反して映像Bを第三者に販売したので、X社との契約に違反したことになります。
このことを前提に、契約書の解釈で問題となったのは、
契約解除をしたら、それまでに支払われた対価すべてをYはX社に返還しなけばならない
と規定されていた点です。
この合意通りに判断するなら、Yは、受け取った対価すべてをX社に返済しなければなりません。
ところが、裁判所は、この規定を制限的に解釈し、契約の解除はあったけど、対価を返還する必要はないと判断しました。
X社は、納入された映像Aを使ってDVDを販売できたし、映像Aに比べれば映像Bの数はほんのちょっとでした。
こういう事情から、Yに対価を全部返せというのはちょっと一方的過ぎるという判断が念頭にあったんだと思います。
このような例からもわかるように、
合意した以上、一方的な内容であっても、必ずその通りにしないといけないという話ではありません。
こういう例外があることは、知っておくといいかもしれません。
とはいえ、当事者同士の話し合いでは、合意通りにするように要求されるのは当然です。
第一審の裁判所でも、合意にしたがって、全額の返金せよという判断がされていました。
それに、一方的かどうかは裁判所の心証なので、そう思ってもらうには、それなりの主張や立証が必要となります。
その意味では、合意したことの効力が強いことに変わりありません。
つまり、契約を結ぶ段階から例外に期待してはいけないということ。
一方的に不利な契約とならならいよう、契約書を提示されたら、内容はしっかりと検討しましょう!
ということで。
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