前回,サルの自撮り写真に関する記事で,アメリカの著作権局が著作権登録を否定したことを書きました。
そこで,今日は著作権の登録について触れてみます。
まず大前提として,
著作権という権利は,著作物を創作するのと同時に発生します。なので,登録等の手続は一切いりません(著作権法17条2項)。
この点は,特許庁での登録手続が必要な特許権,意匠権,商標権等とは異なってますね。
ただ,一定の場合は,法律で登録手続が認められています。代表例は,次のような場合です(なお,登録できる場合は次の例以外もありますのでご注意を)。
1 無名(名無し)又は変名(ペンネームなど)で著作物を公表した場合の実名登録(法75条)
この登録により実名登録されている人が著作者と推定されます。
また,無名又は変名で著作物を公表した場合の著作権保護期間は公表後50年ですが,実名登録することにより,保護期間は死後50年に延びます。
2 著作権を移転(譲渡など)した場合(法77条1号)
元の著作権者が他の人にも著作権を譲渡してしまった場合(著作権が二人に譲渡されてしまった場合)に,登録していれば,自分が著作権を譲り受けたのだと主張できます。逆に,登録していないと,自分が著作権を譲り受けたと言えなくなります。
このように,日本における著作権の登録制度は限られたものとなっています。
一方で,アメリカの場合,登録しなくても,著作物を創作すると同時に著作権が発生するのは日本と同じですが,ちょっと違ってるところがあります。
ちなみに,条約により,日本で創作された著作物はアメリカでも保護されますし,アメリカで創作された著作物も日本で保護されます。ここでも何の手続もいりません。
どこが違っているかと言いますと,アメリカでは,著作権登録することによって一定のメリット(法定損害賠償請求権,弁護士費用の賠償請求権,登録内容についての法律上の推定力)が与えられます。
メリットを与えて,登録を推奨しているのですね。
日本で大ヒットした「アナと雪の女王」(原題:Frozen)の著作権登録情報を見てみると…,こんな感じになってました(笑)
というわけで,日本で創作した著作物を使ってアメリカで商売するなら,アメリカでの著作権登録しておいた方がよいですね。
なお,このアメリカでの著作権登録ですが,日本でも推定力を認めた裁判例がありますが(「ジョイサウンド仮処分事件」(東京高決平成9年8月15日)),このアメリカのような登録制度そのものを導入する様子はなさそうです。
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