医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

伊藤若冲の美意識4

2007年02月12日 05時52分23秒 | Weblog
  若冲の「鳥獣花木図屏風」という作品を知ったときには、心が動かされました・・・すっげーぜ、まじ。

 若冲はそれまではどちらかというと無名でしたが、辻 惟雄(のぶお)氏という東大名誉教授の美術評論家の先生が、1970年に若冲を奇想の画家として賞賛する本、「奇想の系譜」を書いてブレイクしました。

 辻氏の著書その「奇想の系譜」と、「奇想の図譜」、「日本美術の歴史」を読んでみました。

 2006.8.1発売、No.599のBRUTUSでも「若冲を見たか?」と特集されました。

 まずはとくとご覧ください。

http://www.fujitv.co.jp/events/art-net/go/022_large04.html

http://f.hatena.ne.jp/jakuchu/20060511101214

http://www.kyuhaku.com/pr/exhibition/nurie.html

http://www.jakuchu.jp/info/card.html



 この「鳥獣花木図屏風」は残念なことに、日本にはありません。

 ジョー・プライス氏という米国収集家が所有しております。

 彼は日本人の誰よりも早く、若冲を見出し理解して目をつけたのです。

 その審美眼には脱帽です。

 プライス氏がどれくらい若冲と日本が好きかというと、この「鳥獣花木図屏風」を自宅のお風呂にタイルで描かせて、そのお風呂につかるのが癒しだと・・・

 自宅も心遠館(しんえんかん)と名づけちゃって、ろうそくの明かりで集めた日本画を鑑賞するんですって・・・

 なんとも日本人の心を理解しちゃって・・まいっちゃうなぁ・・そこまでされちゃうと。

 この作品は、色といい、題材といい、技法といい、何もかもが従来の狩野派を代表とする日本画の世界からは完全に異端です。

 西陣織にヒントを得たらしいですが、方眼紙のように升目を置いて、色を施して行ったようです。

http://www.taikenkobo.jp/page_a2.php?srch_type=qs&srch_cmd=genre&srch_val=1&lnum=2

 染めの友禅、錦の西陣・・

 え、でもそれってコンピュータ・グラフィックじゃありませんか・・・。

 一双で升目の数は、約86,000個。

 日本にもこんなファンキーでポップな画家がいたとは・・・。