医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

信仰の美風と遺伝子12

2006年08月28日 11時22分35秒 | Weblog
 そして、アメリカ科学アカデミー会員の90%以上が無神論者だというのに、無神論者の合衆国上院議員はひとりもいないとのことです。

 どちらも同じアメリカ人による構成にありながら、その比率の差としては非常に不自然で作為的だと指摘されております。

 どちらの側が作為的かはみなさまのご想像にお任せします。

 アメリカに限ったことではありません・・・どの国の政治家も当選するためなら、何でもありなのでしょうか・・・??

 今年の7月には、この11月に中間選挙を控えるブッシュ大統領が、最先端医学分野で最も期待される「再生医療」の根幹を成す、ヒト胚性幹細胞(はいせいかんさいぼう=『ES細胞』)研究の促進法案に対し、なんと就任以来初めての拒否権発動に踏み切ってしまいました。

 このことが、神が人間を創ったという理由で反対するアメリカの福音右派と、建前上はあくまで生命倫理観を固持した福音右派の支持を受けるブッシュ大統領の、果たして先見の明と出るのか、それともアメリカが「再生医療」分野で大きく後れを取って取り残されてしまうのかは、重大な関心を持って見守りたいと思います。

 それにしても現在のアメリカと同じくらい宗教が幅を利かせているのは、イランくらいのものだと述べるアメリカ人科学者もおります。

 そういえばなるほど、両国の指導者の性格や発言に、実は案外共通点が多い気がします。

 僕は以前に医者のくせにダーウィンの進化論に疑念を持つようなことを記載しましたが、これは進化論を否定するわけではなく、科学的にすべてが完全に証明されているわけではないものは(例え証明されていたとしても)、そう習ったからといって鵜呑みにせず、自らの思考を常に停止させてはいけない、という趣旨です。

 またアメリカにはWASP(ワスプ)と言う呼称があります。

 「White Anglo-Saxon Protestant」の頭文字をとったものです。

 これはアメリカのエリート階級を指す語であり、もともとは彼らとの競争的関係にあった、アイルランド系カトリックによって造られました。

 WASPは自己の優位を守るべく、そして自分たちこそが真のアメリカ人としての白人社会の地位を確立すべく、政治的・社会的に結束して、マイノリティやカトリックに抵抗してきた一面を持つために、WASPという単語は多少侮蔑の意味合いも持ちます。

 カトリックの大統領は、なんとケネディだけです。

 特にアイルランド系カトリックは、現在でもイギリスに支配されているアイルランド出身者をアメリカでは偏見が強く最下層に位置づけるため、カトリック信徒が大統領になるなどしたら、ローマ教皇にアメリカを売り渡すとさえ思われているのです。

 カトリックはアメリカでは現在約25%と言われておりますが、これまた差別を受けるヒスパニック系に多いため、WASPから見れば異教徒同然なのです。

 民主党のケリーもまたアイルランド系ではありませんがカトリックであり、また彼の父方はユダヤ教徒です。

 そして現在のブッシュは最も正統派で典型的なWASPです。

 僕たち日本人には見えにくいのですが、この宗教の問題を理解すると、国際情勢や小説、映画、絵画・・・などへの理解も深めることができるのではないかと思います。

 世界科学の中心であったアメリカは現在、宗教的に保守的な流れがあり、いずれこの問題の「つけ」が顕在化して深刻化してくることでしょう。

 またアメリカが行ってきたイスラム社会への政策によって、対立関係にあったスンナ派とシーア派が「反米」で接近してきていることも見逃せません。

一方でヨーロッパでは、神の存在に関しては否定的なクリスチャンが増えているそうです。

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