医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

信仰の美風と遺伝子13

2006年08月29日 11時33分15秒 | Weblog
 ところで皆様は、「VMAT2」という遺伝子をご存知でしょうか?

 ようやく遺伝子の話にたどり着きましたが、この遺伝子が信仰心の強さに関係するのだそうです。

 米国国立ガン研究所遺伝子構造・制御部門を率いるDean Hamer(ディーン・ヘイマー)氏が、
「The God Gene: How Faith Is Hard-Wired Into Our Genes」
の中で、「VMAT2」(vesicular monoamine transporter)すなわち「小胞性モノアミン輸送体」に関する遺伝子を発見したと報告しました。

 彼のチームはアメリカの国立ガン研究所で、不安や喫煙などの行動特性を研究しており、気質性格検査(TCI)という自己超越に対する考え方についての質問を含む240問の正誤判定心理テストを用いるそうです。

 このテストを行うことによって信仰心の強さを判定できるのだそうです。

 本当かしらん? (その仮定が間違ってはいないのでしょうか?

 調査対象は2,000人で、各人のDNAを採取し遺伝子を調べ、TCIによってどれだけ神を信じているかと遺伝子の相関を解析した結果、上記のことが分かったのだというのです。

 彼は、信仰心というものは人間に生来備わる脳の働きや発達と密接に関連した特質だ、と答えております。

 ディーン・ヘイマー氏はまた、宗教と信仰は分けて考えたほうがよいと言っておりますが、先に述べましたようにその意見に僕は賛成です。

 宗教は組織・系統付けられておりますが、信仰は個人が持つものだと思います。

 不完全な人間が、そして不条理にも死ぬことを運命付けられた人間が、いかに生きるべきかという命題を考えたり、人間の倫理を考察したり、生命に対して畏敬の念を持ったり、弱者に対して慮ったり・・・というような点において信仰心は不可欠であると思います。

 信仰心を持つことによって、歴史や伝統や先人・自分の先祖・父母を敬い重んじ、生命や自然そして他人に対して謙虚に慈しむ心、また人間として正しく生きるとはどういうことなのかを深く内省できると思うからです。

 以前にも東洋の思想の欄で書きましたが、僕は特定の宗教の入信者でも宗教を擁護する立場でもなく、日本人として典型的な不謹慎仏教徒(とも決して呼べないほどの不心得者)であります。

 女性の方々の中には結構好きな方が多いと思いますが、僕は占いや手相だの血液型性格分類や神託の類いはまったく信じません。

 ですが自然や生命に対しての畏れ敬う気持ちは強く持っております。

 すべてを超越した絶対的な神がいることに対しても疑念を持っておりますが、無病息災を祈願して神社にお参りに行き、厄を払い、初詣をして、墓前でお線香を上げて手を合わせ祖先を敬い感謝をいたしております。

 人智の及ばない自然現象に対しても、いずれ科学の力で解明されていくと思いますが、例えば満天の星空や元旦の初日の出を見ただけでもとても敬虔な気持ちになります。

 信仰心を深く持つかどうかは、遺伝子が関与していると彼は主張します。

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