医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

塔の美観2

2006年07月31日 13時47分46秒 | Weblog
 僕は先日も東京タワーに昇ってまいりました。

 建造物の美しさについてですが、スマートで近代的なものの方が常に優れているわけでは決してないと思います。

 建造物には歴史と物語やロマンを感じると、その美しさが倍増するものですよね。

 エッフェル塔はまず、パリ博での入場ゲートも兼ねたため、足元の中心にエレベータなどがなく、真ん中にビルがある東京タワーとは違って、道路をまたぎ、向こう側がすっきり全部見渡せます。

 エッフェルの場合、エレベーターはなんと脚に沿って、斜めに上がっていきます。

 そしてエッフェルは、全体の形も美しいと思いますが、それよりも細かい部分(アーチとその上の部分)がまるで、鉄で編んだレースのように、あるいは彫刻のように美しいと思います。

http://www.sato-tetsuya.net/album/

 「鉄の貴婦人」は、当たり前ですがいかにもヨーロッパの建造物、ゴシック的ですらあります。

 西洋の美しい教会の繊細さに通ずるものを感じるのです。

 そしてなによりも光と影のバランスが、計算づくであるかのように美しいと思うのです。

 特に、この写真(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 )を見て明らかなように、骨格が透けて見える夕暮れ時や、逆光や、ライトアップされたときに独特の優美さが漂います。

 あたかも材質が木や石に近い感覚を醸しております。

 まるで竹で編んだかのようでもあります。

 そういう意味では、和の文化、日本的でさえある、と感心してしまうのです。

 一方、東京タワーも平成元年頃からでしょうか、石井幹子(もとこ)さんによってライトアップされるようになってからずいぶんと印象は変わりましたよね。

 それまでは、なんだかさびれたクリスマスツリーみたいに、輪郭だけ赤いランプで電飾されておりましたが、ところどころ電球が切れていて、歯が抜けたみたいでちょっと間抜けな印象だったと記憶しております。

 照明の色も現在では、夏は涼しげにホワイト、それ以外の季節はオレンジ色、たまにイベントにあわせ、緑やピンクや青色になります。

 ただし、あまりカラフルにすると下品になりますので・・・。

 石井幹子氏は日本を代表する照明デザイナーで、東京タワ-だけではなく、東京駅やレインボ-ブリッジ、横浜ベイブリッジ、鶴見つばさ橋、明石海峡大橋、姫路城、恵比寿ガ-デンプレイス等を手がけております。

 しかし素材の違いでしょうけれど、やはりエッフェル塔のライトアップにはかなわないません。

 今やエッフェル塔はライトアップされた景観に、そのあまりの美しさにパリ市が著作権を持っているので、勝手に写真を使うこともできないそうです。

 下記をご参照に・・   -続く-
http://www.sato-tetsuya.net/archives/2006/06/post_294.html