医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

塔の美観1

2006年07月30日 18時25分40秒 | Weblog
 以前(5/17と7/5)に新東京タワーの話題について書きました。


 東京タワーとエッフェル塔ですが、エッフェルは1889年、東京タワーが1958年生まれです。

 ということはエッフェルが69年も年上なんですね。

 東京タワーは48歳、エッフェルはなんと117歳。

 エッフェル塔は、1789年の「フランス革命」の100周年記念に当たる、1889年のパリ万国博覧会に合わせて建設されました。

 「1900年式」といえばこのブログでお馴染の、「アールヌーヴォー」時代です。

 「フランス革命」がなぜこれほどまでに有名かといえば、この革命が市民革命であり、フランス啓蒙思想の流れを汲み、全世界に王制や君主制からの脱却と近代市民社会への改革をもたらしたからなのです。

 フランス啓蒙思想では特に、イギリスの「ジョン・ロック」の影響を受けた、フランスの「モンテスキュー」による三権分立理論においては、現在も民主主義の根底をなすものです。

 有名なことですが、フランス国旗の3色の色は、「自由・平等・博愛」を表し、日本をはじめ、近代民主主義国家の理念の礎(いしずえ)となっております。

 このフランス革命の只中に活躍した画家、ドラクロアの「民衆を導く自由の女神」については、以前にもこのブログ内でお書きしました。

http://art.pro.tok2.com/D/Delacroix/dela02.jpg

 アカデミーよりルーブルで学んだドラクロアは、当時の主流であった「新古典主義」の構図や輪郭を大切にする手法に抗うように、動的で色彩豊かな「ロマン派」の代表となって行きました。

 またこの革命によってフランス王ルイ16世は、パリのコンコルド広場でギロチンによって処刑され、有名な王妃マリー・アントワネットも市中引き回しの上、同じくギロチンで処刑されました。

 このあたりは漫画および宝塚の「ベルサイユのばら」に詳しいので、女性の方が周知かもしれませんね。

 ところが革命というものはそううまくも運ばず、その後生じたフランス第一共和制はジャコバン派の独裁政治やその後のジャコバン派のギロチン処刑を経て、ナポレオン・ボナパルトによるフランス第一帝政となります。

 ナポレオン失脚後はブルボン王朝の王政復古を経験しつつ、数々の血と犠牲と反動を経て、ようやくフランスは近代民主主義国家へと発展して行ったのです。

 そんなパリといえばエッフェル、エッフェルといえばパリ。

 もちろんパリのセーヌ河岸は世界遺産です。

 エッフェルは鉄道レールなどに使われた錬鉄(れんてつ)製、東京タワーは鉄鋼(スチール)製だそうです。

 ちなみに鉄鋼とは鉄を主成分とする合金のことです。

 東京タワーはエッフェルの後、69年もたってのことなので、技術も進んだため重さはエッフェルの約半分。

 材質も異なるため、明らかにエッフェルをまねて作った東京タワーのほうが、機能的には優れているらしい・・・。

 見た目にも東京タワーはスマートですけれど、しかし美しさはどうでしょう?

-続く-