医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

演技の美~デニーロ~2

2006年07月02日 13時26分33秒 | Weblog
  ブラジルが、あのブラジルが・・ 女神はフランスの偉大な「コンダクター」「将軍」のジダンを優しく見送るつもりなのか?? ミヒャエル・バラックに「小皇帝」を超える栄誉を与えるつもりなのか?? それとも・・・見ました?イタリアのザンブロッタのあのゴール・・ ほんとにサイドバック?? いやいや若きC・ロナウドに微笑むのか??



 しかし、この「レナードの朝」を大学生のときでしたか、初めて観たときにこれまでの僕の既成概念を少し変えないといけないな、と思わざるを得ませんでした。

 それほど彼の演技に圧倒されてしまいました・・・。

 何なのでしょう、あれは??

 まだご覧になられていない方は、映画を語る上で、この映画はやはり避けられないでしょう・・・。

 監督を超越しているというか、もはやその手を離れ、鬼気迫る一人芝居に近いですよね。

 この映画の内容そのものは特記すべきものはありません。

 医学ものであり、いかにもアメリカ映画らしい、医師の正義感や勇気をほろ苦く描いております。

 当時僕は医学生でしたから、それなりにストーリーにも感銘も受けました。

 しかし、もし皆さんの中でありきたりの感銘をはるかに凌駕する「演技」を堪能したいとき、あるいは「役者」とは、「プロ魂」とは何なのかに触れたいときには、どうぞこの映画を観ることをお薦めいたします。

 難しい演技としての「レインマン」や「フォレストガンプ」もありますが・・。

 昔観たA・フィニーの「ドレッサー」という映画を思い出します。 この映画はイギリス映画らしく、シェークスピア劇団の座長と付き人のほぼ二人映画、演技と演技のバトルで、ややもすると退屈になりがちな作品を見事に二人が演じぬけるものでした。

 まあ、イギリスにはシェークスピアはじめ、一人芝居の伝統がありますから。

 日本で一人芝居を見るにたる俳優・・・やはり田村正和とイッセー尾形・・・??

 それにしてもこの映画でのデ・ニーロは際立っています。

 これではまわりの役者も監督ですらも気の毒だと思います・・・。

 彼に合わせられないでしょう。

 もし仮に彼の演技がこれ以上過剰すぎてもこの役どころの場合、多方面に迷惑をかけてしまうでしょう。

 かといって過小すぎては伝わりません。

 非常に難しい役どころをこれだけ迫真にこなす才能は何なのでしょうか?

 生まれついての感覚なのか、後天的な努力なのか。

 監督も使いづらいでしょうし、共演者も共演したくないでしょうね、彼とは・・・引き立て役にしかなれませんから。

 天才の抱える孤独・・・。

 デニーロ自身が監督も演出もこなさないとダメか・・・。