【ぎろんの森】:アベノミクスの後始末
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ぎろんの森】:アベノミクスの後始末
日銀が金融政策決定会合で大規模金融緩和策の再修正を決めました。物価上昇要因である円安の抑制を意識した措置ですが、市場では微修正と受け止められ、歯止め効果は薄かったようです。
東京新聞は1日社説「金融政策再修正 物価抑制には力足りぬ」で「物価高を封じ込めるには、力不足と指摘せざるを得ない」と訴えました。
現在の物価高は、ウクライナ紛争で原油などのエネルギー価格がそもそも高騰していることに加え、円安が進み、エネルギーや原材料、食品、物品などの輸入価格が上昇していることが原因です。
では、その円安はなぜ起こっているのか。主な要因はインフレ対策で急速な利上げを進めてきた米国と、低金利政策を続ける日本との金利差にあります。つまり日本の金利を上げなければ円安に歯止めは掛かりません。
日本経済が多くを輸入に頼る現状を考えれば、金利を上げて円安に歯止めを掛けることが物価対策になるのです。
ただ、金利を上げることの「副作用」もあります。住宅ローン金利や企業向けの貸出金利が上昇し、景気の悪化や株価の低迷を招く恐れがあります。最も懸念されるのは、国債の利払いが増えることでしょう。
日本の国債残高は2023年度末には1068兆円に上ります。金利が上がれば国債の利払いが増え、財政がさらに悪化しかねません。日銀は金利変動が及ぼすさまざまな影響を考慮し、金融政策を決定しているのでしょう。
とはいえ、日銀が「異次元の金融緩和」で円安に誘導し続けたのは故安倍晋三元首相が主導した経済政策「アベノミクス」の一環です。同政策の柱の一つは国債頼みの「機動的な財政政策」でした。
アベノミクスは一部に恩恵をもたらしたかもしれませんが、金利を上げたくても上げられない日本経済はアベノミクスの後遺症に悩まされ、その後始末をしていると言っても過言ではありません。
東京新聞は現在の経済政策はもちろん、過去の政策からも目を背けず、検証し続けたいと考えています。 (と)
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【ぎろん森】 2023年11月04日 07:47:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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