【筆洗・05.20】:『前略おふくろ様』などの脚本家、倉本聰さんは北海道の富良野…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・05.20】:『前略おふくろ様』などの脚本家、倉本聰さんは北海道の富良野…
『前略おふくろ様』などの脚本家、倉本聰さんは北海道の富良野に移り住んで間もないころ「廃屋」をよく訪ね歩いていたそうだ
▼捨てられた家を見つけては中におじゃまする。その昔は居間だった場所に座り込む。散乱した室内に放り出されたランドセルや少女雑誌…。寂しい光景にかつて住んだ家族がこの地にやってきたときの夢や家を出るしかなかった事情を想像する。廃屋は「哀(かな)しい博物館」だという。廃屋に着想を得て書いたのが『北の国から』という
▼以前は笑い声があふれた家だが、今は誰もいない。そんな「哀しい博物館」の建設ラッシュが日本中で起きているのか。空き家問題である
▼総務省の住宅・土地統計調査(速報値)によると全国の空き家数は900万戸と過去最多。住宅総数に占める割合は13・8%で、約7戸に1戸は空き家ということになる
▼ひとり暮らしの高齢者が亡くなり、そのまま空き家になるケースが相次いでいる。相続する人がいない、相続して売りに出したものの買い手がつかない、解体費が払えない-。少子高齢化の進んだ社会では空き家の増える理由はいくらでもあるのだろう
▼2035年には3戸に1戸が空き家になるとの推計もある。空き家は都会でも増えている。政府の対策も効き目が見えない。「哀しい博物館」を再び、誰かの「楽しいわが家」に戻す有力な手はないものか。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】 2024年05月20日 07:07:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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