【ラサール石井 東憤西笑】:岸田総理は静岡の被害を知らないのか? あの「赤坂自民亭」の二の舞いにならないか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ラサール石井 東憤西笑】:岸田総理は静岡の被害を知らないのか? あの「赤坂自民亭」の二の舞いにならないか
多くの人々の反対をよそに国葬は執り行われた。だろう。この原稿は前日早朝に書いているので、今の段階では国葬当日の朝である。おそらくその内容にもまた賛否両論あるだろうが、それはまた今日以降語られるであろう。
27日も国会前や各地で大規模な反対デモが行われており、最後の最後まで反対の声はやまない。いや、ある意味、今回の国葬ほどケチのついた儀式もなかったのではないか。
安倍氏が凶弾に倒れた時は「すわテロか」と騒然となり、早々と岸田総理が国葬を決めた。しかし事実は統一教会に対する私怨であったところから風向きが変わり、安倍氏や自民党議員の関与が報道され始めた。これがなければ国葬反対の声はここまで増えなかったのではないか。
しかも偶然とはいえその後エリザベス女王が崩御され、国家元首と一国会議員の差こそあれ、比べてしまうのが人情。しかも肉体がなければ葬儀の意味がない欧米では迅速かつ荘厳な、それでいて華美ではない国葬が執り行われた。外国人には「遺灰」を葬る感覚が理解できない。そのせいか、日本の国葬が遅すぎたのか要人も来ない。
あれほど国葬の理由にあげていた「弔問外交」も各国10分。通訳を入れたら実質5分で何が話し合えるのか。ただ弔問外交したというアリバイづくりでしかない。
しかし今、直近の問題は、台風15号による静岡の被害だ。浸水した家屋は4000戸、6万3000世帯の人々が断水で苦しんでいて、救助の手が足りずSNS上では「助けてください」と悲鳴のような声が続々と寄せられている。
しかし岸田総理は対策本部を立ち上げるでもなく、25日は午後から散髪。26日は弔問外交とすっかり国葬一辺倒。いやでも思い出すのは2018年の「赤坂自民亭」だ。未曽有の被害を出した西日本豪雨の予兆が見え始めた夜に、法務大臣や防衛大臣も含んだ議員が大宴会をして、しかもその写真をSNS上で楽しげに披露したから大批判を浴びた。その真ん中にいたのが安倍氏と岸田氏だ。
それ以前から夏になれば豪雨の災害があるのは分かっている。雨が降りそうな位置も予測できる。断水や停電になぜもっと備えられないのか。今回もあの時の反省はまるで生かされていないではないか。
ひょっとしたら岸田さんは静岡のことを知らされていないのではないか、と思うくらい能天気だ。このままでは後に国葬の評価は赤坂自民亭と並び称されるほど地に落ちるのではないか。「終わればみんなよかったと思う」と言うが、オリンピックの時もそう言っていた。ところが今のありさまはどうだ。
「終われば、なんとでもごまかせる」
これが本音ではないのか。
1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属。
元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・連載「ラサール石井 東憤西笑」】 2022年09月29日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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