路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【筆洗】:「なぜだ! どうしてだ! 俺はじっと待ってたんだぞ!」-。

2020-04-29 06:10:20 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【筆洗】:「なぜだ! どうしてだ! 俺はじっと待ってたんだぞ!」-。

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:「なぜだ! どうしてだ! 俺はじっと待ってたんだぞ!」-。

 映画監督の黒澤明はある作品の企画中止に激怒した。タッグを組んだ脚本家の橋本忍さんが書いている▼「生きる」(一九五二年)の後に「侍の一日」という作品を温めていたが、問題になったのは昼食の場面。江戸時代前期、登城した武士は果たして弁当を食べたか。これが分からない。歴史学者に尋ね回ったが、はっきりしない上、当時は昼飯抜きという説も出てきた。侍の日常を克明に描きたかった橋本さんとしては執筆を断念せざるを得なかったが、黒澤監督を説得するのは大変だったらしい▼夏の全国高校総体(インターハイ)が中止となった。新型コロナウイルスが高校生競技者の夢を奪った。やむを得ないとはいえ「なぜだ!」と唇をかむ選手も多いだろう▼そこを目標にして努力を続けてきた晴れ舞台。映画なら次回作もあるが、この夏は一度きり。大人は悔しさを人生の糧にしてとなだめるが、なかなか気持ちの整理はつかないはずだ▼この悲劇に耐えてほしいと言うしかない。スポーツ漫画ではインハイは物語上の一番の見せ場としてよく描かれるが、実生活での本当の見せ場はおそらくもっともっと後に来る。君たちの物語はこれからも続く▼「侍の一日」が中止となり、失意の監督が次に撮ったのは「七人の侍」。無論、歴史的大傑作である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2020年04月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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