路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【中山知子の取材備忘録・06.09】:岸田首相、党首討論での「ハプニング」は起きるか 12年前は野田佳彦氏が電撃解散宣言

2024-06-24 07:45:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【中山知子の取材備忘録・06.09】:岸田首相、党首討論での「ハプニング」は起きるか 12年前は野田佳彦氏が電撃解散宣言

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・06.09】:岸田首相、党首討論での「ハプニング」は起きるか 12年前は野田佳彦氏が電撃解散宣言 

 自民党派閥の裏金事件を受けて始まった政治資金規正法改正への国会審議。自民党の度重なる迷走や、10年後に領 収書を公開する際のルールづくりはこれから、などという岸田文雄首相のグダグダ答弁がありながらも、数の力で衆議院を通過した。今後参議院での審議を経て6月23日に会期末を迎える通常国会中に成立の見通しだが、「抜け道だらけ」といわれるように中身が生煮えでも、法案成立という「見た目」が優先されてしまうのは、岸田首相が節目で見せる「やってます感」に重なる。

 その岸田首相はかねて、「衆院解散のタイミングを探っている」という指摘がなされてきた。首相自身の政治姿勢だけでなく裏金問題、定額減税など経済政策への不評などで支持率が下がっても「自分の手での解散」を模索している、という声を複数、耳にしてきた。ただ現実は全国の選挙で負けが込み、補選とはいえ国政選挙の4月の衆院3補選は、不戦敗2つを含む全敗。身内からも「負けっぷりにもほどがある」(自民党関係者)と嘆きが出るほど。通常なら「選挙の顔」の役割も担う党トップとしては致命的な評価で、衆院解散総選挙で勝利→秋の自民党総裁選で再選の方程式は崩れたというのが、現実的な見方だ。

 それでも、派閥解散や自らの政治倫理審査会出席など、周囲の想定を超えた行動に出ることで知られる岸田首相。「すきあらば…」の思いは今もどこかにあるのでは?と懸念を持つ関係者がいないわけではない。

2023年10月 衆院本会議場の自席で腕組みをしながら話す岸田文雄首相
2023年10月 衆院本会議場の自席で腕組みをしながら話す岸田文雄首相

 そんな疑心暗鬼もある永田町では、国会会期末の19日にも党首討論を行う調整が、与野党間で始まっているという。党首討論は、かつては丁々発止の議論もあったが、そもそも全体の時間が45分と短く政党の規模で持ち時間も決まり、言いっぱなしで終わるため討論は深まらない。最近は菅義偉政権の2021年6月に行われたきりで、今回行われれば3年ぶりで岸田政権では初めてだ。国会の会期末には立憲民主党などが内閣不信任決議案を提出するとの見方もあり、国会では終盤に向けて緊張感が漂ってきている。

 この党首討論の場で野党から挑発を受けた岸田首相が、「ケンカ師」の本領を発揮して解散に踏み切ろうとするのではないか、という展開は「多分ないけど、絶対ないとは言い切れない」という声を聞いた。「野田さんパターン」という。

 野田さんとは、民主党政権で最後の首相だった野田佳彦氏が2012年11月14日の野党自民党の安倍晋三総裁との討論の場で、議員定数削減法案への協力と引き合いに「私は解散をしてもいいと思っている。やりましょう」と電撃的に解散を持ちかけ、さすがの安倍氏も「約束ですね。よろしいんですね」とあわてた様子で繰り返した。当時、取材していた委員会室の空気は、野田氏の発言で「どわっ」と変わった。今も忘れられない衝撃だった。

2011年11月、首相として両院議員懇談会の冒頭のあいさつを述べた野田佳彦氏
2011年11月、首相として両院議員懇談会の冒頭のあいさつを述べた野田佳彦氏

 当時の野田氏が置かれた立場とは異なるが、今のままなら9月の自民党総裁選で再選は厳しいと見る向きが強い岸田首相が、座して退陣を待つくらいなら、乾坤一擲(けんこんいってき)の大勝負に出るのではないか…。そんな「悪夢」(関係者)のような展開を懸念する声は、なくもない。岸田首相は2020年秋の自民党総裁選で菅義偉氏に敗れ、1度は「終わった」とまで言われたが、そこから再びの挑戦を経て首相にはい上がった。以前、野党関係者に「総理は何をやりたいかではなく、首相の座に固執している」という批判を聞いたことがあるが、このまま黙って追い込まれるくらいなら何か行動を起こすのでは…という推測が出るのも、そうした岸田首相の権力への執着心というものがあるとすれば、うなずける側面もある。

 立憲民主党は岸田首相に総辞職か、解散で国民に信を問うよう求めているが、今の自民党議員の大半は解散など望んでいないはず。一方で、何を考えているのか、仕掛けてくるか分からないのが岸田首相だという側面を、多くの自民党議員、関係者が学習している。だからこそ「ハプニング」への警戒が消えないのかもしれない。

 12年前、党首討論での解散宣言から2日後、実際に衆院を解散した野田氏の勝負は成就せず、民主党は政権を失った。一方、岸田首相は「自分の勝負勘には自信を持っている」と聞いたことがある。党首討論が実現した場合、45分が「無風」で過ぎるのか、何か「ハプニング」が起きるのか、見ていきたいと思う。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2024年06月09日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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