【社説①】:安倍派強制捜査 「裏金化」の全容解明を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:安倍派強制捜査 「裏金化」の全容解明を
自民党安倍派(清和政策研究会)のパーティー収入を巡る問題で、東京地検が強制捜査に乗り出した。議員へのキックバック(還流)分を政治資金収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反容疑だ。徹底的に裏金化の実態を解明してほしい。
安倍派では1枚2万円のパーティー券を販売する際、ノルマを設け、それを超過した分を現金で議員側に還流していた疑いが持たれている。このカネは本来、政治資金収支報告書に記載すべきものである。
しかし、派閥から議員側に対し、記載しないよう要請していたという。派閥の会計担当職員が各議員の秘書らとの間で現金の受け渡しをしていたともいう。裏金化である。断じて許されない。
金額も大きい。還流分は直近5年間で計5億円規模に上るとみられることが判明した。安倍派は裏金化が組織的かつ継続的に行われていたことが顕著だったという。
二階派でも派閥側の収入を1億円超少なく記載していたもようだ。いずれも派閥ぐるみの不正といえる。東京地検は同規正法が禁じる不記載、虚偽記入に抵触するとみて、派閥事務所などを家宅捜索した。議員本人や会計責任者らの聴取も開始している。パーティー券を用いた裏金化の実態を徹底的に暴いてほしい。
そもそも政治家個人への献金の収支報告を義務づけたのは1980年。その後もリクルート事件や東京佐川急便事件など「政治とカネ」の問題が噴出した。95年には政党交付金制度を導入したり、99年に政治家個人への企業・団体献金を禁止したりもした。
だが、その後も日歯連ヤミ献金事件(2004年)などが起きた。今回の事件はパーティー券を企業・団体に購入してもらう形で、実質的に議員個人が企業などから献金を受け取っていたことになる。
制度自体に大きな抜け穴があるのは明らかだ。もともと政治資金規正法は「ザル法」とも呼ばれたが、こんな状態を放置しては政治への国民の信頼が失墜するのは明白である。
特に今回の事件の背景には「自民1強」の政治状況が続いたことや、安倍長期政権によるおごりがあったのであろう。社会常識からかけ離れた不正を招かぬためにも「政治とカネ」を透明化せねばなるまい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2023年12月20日 08:17:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます