路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【汚れた桜】: 「桜を見る会」疑惑に迫った49日 ◆第1章・疑惑が生まれた日(1)始まりは田村議員の国会質疑

2020-04-14 06:19:20 | 【政治とカネ・政党交付金・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会名による政治資金...

【汚れた桜】: 「桜を見る会」疑惑に迫った49日 ◆第1章・疑惑が生まれた日(1)始まりは田村議員の国会質疑

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【汚れた桜】: 「桜を見る会」疑惑に迫った49日 ◆第1章・疑惑が生まれた日(1)始まりは田村議員の国会質疑

 ◆ツイッターを見て、これはニュースになると

 「共産党の田村智子参院議員の昨日の質問が、SNSで話題です。何かやるべきかと思うのですがどうでしょうか。何かよい知恵はないでしょうか」

「桜を見る会」であいさつする安倍晋三首相(中央)=東京都新宿区の新宿御苑で2019年4月13日、代表撮影

 2019年11月9日、土曜日の朝。統合デジタル取材センター長の齊藤信宏がこんなメッセージを部員全員の社有スマートフォンに送った。毎日新聞社が使っているビジネス向け通信アプリを通じてである。LINEと同じようにグループで会話ができる便利なツールだ。

 時代は紙媒体からデジタルへ移行しつつある。そこで、主に毎日新聞のニュースサイト向けに、購読料を払って読んでもらえるような魅力ある記事を多く発信するのが統合デジタル取材センターに課せられた役割だ。17年4月に発足したばかりの部署で、東京本社編集編成局の広いフロアの一角に拠点があり、齊藤センター長以下、デスク3人、記者16人がいる。

 紙面に記事が載ることもあるが、モットーは「ウェブファースト」。政治部や経済部、社会部といった従来の枠組みにとらわれず、取材するテーマは何でもありで、どこかの部が一報を書いた出来事を深掘りすることもあれば、どの部も扱わない話題を追いかけることもある。聞き慣れない部署名のためか、取材相手に「統合デジタル取材センターって?」と質問されることも多い。そういう場合は「何でも屋といったところです」と答える記者もいる。

 一昔前の新聞業界では、紙面向けとデジタル向けの記事は別のルートで編集されていた。それを統一して、よりデジタルにシフトした編集システムに移行する動きが世界中の新聞社で進んでいる。それを「統合編集」と言う。統合デジタル取材センターの「統合」には、そんな意味が込められている。

 田村議員の質疑の内容については後で触れる。この質疑について8日の段階で毎日新聞は報じていた。夜、ニュースサイトに「『桜を見る会』首相の地元後援会関係者招待に『重複、当然ある』 参院予算委」との見出しで、政治部が出した記事が載った。翌9日の朝刊には「桜を見る会『後援会優遇』指摘」「各界功労者を招待」「首相『関与していない』」との見出しで載った。ただ、紙面では5ページの真ん中あたりの記事で、目立つ扱いとはいえなかった。

 だが、新聞報道とは別のところで話は急速に広がっていた。

 統合デジタル取材センターの記者は「デジタル」と名乗っている以上、SNSでの話題をいつも意識している。朝起きた齊藤が、いつもの習慣でツイッターをのぞくと、タイムラインは田村議員の質疑の動画とともに「モリカケと同じ、税金の私物化だ!」「そんな馬鹿みたいなことあるの?」といった怒りのツイートであふれていた。「これはすぐに反応した方がいい話だ」と、齊藤は直感したのだった。

 齊藤は経済部が長く、ワシントン特派員の経験もある。米国の大手新聞社が紙からネットに軸足を移した経緯をよく知っており、ネットでのニュースの広がり方を常に意識してきた。

 この日の当番デスクは日下部聡だった。齊藤のメッセージでツイッターを見て、これはニュースになると思った。「何が問題かをおさらいする、というスタイルで昨日の質疑を振り返る感じでしょうか。江畑さん、できますか」とメッセージを送った。週末は記者も1人当番制だ。この日の当番は江畑だった。

 週刊誌「サンデー毎日」や社会部で深掘り記事をよく書いてきた日下部は、紙面の単発記事はスペースが狭すぎて、事実の面白さや深さを伝えきれないもどかしさを感じてきた。ウェブにスペースの制約はない。一度出たニュースでも詳しく報じ直すことで新たな価値が生まれると考えてきた。

 自宅でメッセージを見た江畑はすぐさま「了解です」と打ち返した。

 そう即答したものの、江畑はそもそも桜を見る会の問題など何も知らなかった。そういえば毎年、春にテレビか新聞でやっているような気がする――といった程度のおぼろげな記憶しかなかった。出社した江畑はまず、首相官邸のホームページを開いてみた。

 ◆官邸動画に残る上機嫌な安倍首相

 桜を見る会のコーナーがきちんと設けられていた。写真だけでなく動画もアップされている。安倍政権はネットを使ったPR戦略がうまいとよく言われるが、その一環なのだろうと江畑は思った。

 19年の開催は4月13日。晴天のもと、桜が咲き誇っている。参加者たちは和服やスーツなど、色とりどりの華やかないでたち。テレビでよく見かける有名な俳優やタレント、お笑い芸人の姿も目立つ。

 そうはいっても、主役はもちろん安倍晋三首相だった。

 ネクタイは桜を意識してか、ピンク色。芸能人と記念撮影したり、並み居る参加者たちとハイタッチしたりする写真が印象に残った。

 動画を見ると、安倍首相は深紅のシートが敷かれたひな壇に上がり、満面の笑みでこうあいさつしていた。

 「素晴らしい青空ではありませんか、皆さん。私は自慢じゃありませんが、日本の晴れ男ベスト5の一人であります。後の4人が誰かは知りませんけれども、気持ちのいいお天気となりました」。天を仰いで広げた両手を高々と差し出す安倍首相。かなり上機嫌である。あいさつもよどみない。

 毎回、一句を詠むのが恒例になっているらしい。

 「平成を 名残惜しむか 八重桜」

 そしてこう続けた。

 「どうも失礼いたしました。そして、いよいよ5月1日皇太子殿下がご即位され令和の時代が始まります。この横で、官房長官に掲げてもらいたいところなんですが、一人一人のそれぞれの花が咲き誇る時代にしていきたい、そう思います。そこでさらにもう一句」

 「新しき 御代寿ぎて 八重桜」

 世間は元号が平成から令和に変わる「令和フィーバー」の中にあった。4月1日に菅義偉官房長官が記者会見で「令和」の2文字を掲げ、各地で祝賀イベントが繰り広げられた熱気が残っていた時期である。2句も披露するとは、首相はよほど上機嫌だったのだろう。

 だがこの意気軒高の安倍首相を見て、江畑は中学生のころに習った和歌をふと思い出した。平安時代に「摂関政治」を展開し栄華を極めた藤原道長の有名な歌だ。

 「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」

 道長は、この世は自分のものだと宣言し、さらに自身の人生を欠けている部分のない満月に例えたのである。(つづく) 

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 政治 【政局・安倍首相主催の「桜を見る会」を巡る疑惑】  2020年04月07日  18:12:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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