路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【 大谷昭宏のフラッシュアップ・05.30】:連合赤軍事件から50年 組織はだれひとり幸せにできなかった

2022-05-31 08:01:50 | 【新聞社・報道・マスコミ・雑誌】

【 大谷昭宏のフラッシュアップ・05.30】:連合赤軍事件から50年 組織はだれひとり幸せにできなかった

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【 大谷昭宏のフラッシュアップ・05.30】:連合赤軍事件から50年 組織はだれひとり幸せにできなかった 

 沖縄が本土復帰した1972年は札幌オリンピック、パンダの来日と明るいニュースがあった一方で、2月に連合赤軍によるあさま山荘事件が起きた。人質を取って立てこもった5人は銃を乱射。警官2人、民間人1人を射殺。10日後突入した機動隊に全員逮捕された。

1972年2月、河合楽器・浅間山荘の管理人の妻を人質にあさま山荘に立てこもる連合赤軍メンバーを見守る警察のライフル隊(時事)
1972年2月、管理人の妻を人質にあさま山荘に立てこもる連合赤軍メンバーを見守る警察のライフル隊(時事)

 あれから50年、BSテレ東の番組で訪ねたあさま山荘は、鉄球が打ち破った壁は修復されていたが、ほぼ当時のまま。私は視聴率じつに89・7%、警察(サツ)まわりの取材の途中、刑事たちとテレビにくぎづけになった、あの日を思い出した。

 だが5人の逮捕後、さらに凄惨(せいさん)な事件が明るみに出る。連合赤軍を革命戦士のための組織と位置づけた彼らは、仲間の些細(ささい)な言動にも自己批判を迫り、総括と称するリンチの末、殺害。後ろ手に縛ったままの遺体などを群馬の榛名山、妙義山などに14体、埋めていた。

連合赤軍メンバーをリンチで殺した後で死体を埋めた榛名山・山岳ベース近くの現場。1972年3月撮影=群馬県(時事)
連合赤軍メンバーをリンチで殺した後で死体を埋めた榛名山・山岳ベース近くの現場。1972年3月撮影=群馬県(時事)

 番組では、そのリンチ殺人に加担、服役した岩田平治さん(72)を取材させてもらった。世界同時革命を掲げた彼らは、より強固な組織へと学生中心の赤軍派と労働者主体の京浜安保共闘を合体させて連合赤軍を結成する。だが連合赤軍は、やがて組織を守るための組織と化して疑心暗鬼の末、仲間を葬り去ってしまった。

 「みんなを幸せにと作った組織が結果、だれひとり幸せにできなかった」。諏訪湖の近くで、いまは静かに暮らす岩田さんのしぼり出した声が心に残る。

 その「組織」を「国家」と置き換えたとき、21世紀の世界はまた同じことを繰り返しているのではないか。

 BSテレ東「NEWSアゲイン~あさま山荘事件から50年」は6月2日(木)午後6時54分から。

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2022年05月30日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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